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2019 年度 実施状況報告書

内部特異点フリーなシザース・ペア・ダブルジンバルCMGの開発と駆動制御法の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K04840
研究機関首都大学東京

研究代表者

小島 広久  首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (50322350)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードコントロールモーメントジャイロ / シザースペア・コントロールモーメントジャイロ / 内部特異点 / ジンバル駆動則 / モデル予測制御
研究実績の概要

(1)SPDGCMG 実現のための最適機構レイアウト設計・装置の作成
3次元パラメトリックCADソフトであるSOLIDWORKSを用いてプロトタイプ設計を行い,小型軽量化に最適な機構レイアウトとなるモータ配置について様々なパターンを考え,メリット・デメリットの比較検討を行った.また,基板設計ソフトであるFritzingを用いてモータ駆動制御用回路基板を設計,プリント基板製造会社での製造を経て,手作業でのはんだ付けによるプロトタイプ基板を作成するとともに,Arduinoプログラムを作成した.
(2)ジンバル駆動則の考案
内部ジンバル角が90度に到達したジンバルロック状態およびシザース・ペア角がゼロのときのみ特異状態となる.いずれも摂動トルクを発生しないヌルモーションにより解消可能であるが,ヌルモーションのためのジンバル回転方向は2通り存在し方向選択に任意性があるため,片方に限定する方法を提案,また,特異点をヌルモーションで抜け出す方法を駆動則を考え,目標とするジンバル角を幾何的に求める方法を考案した.そして,その駆動則の有効性を数値シミュレーションにて確認し,32nd International Symposium on Space Technology and Scienceにて発表を行うとともに,海外学術誌へ論文を投稿した.また,目標姿勢への接近度合に応じて目的関数を変更するモデル予測ジンバル駆動制御方式を考え,制御初動時の高速化と目標姿勢への円滑な静止が達成可能であることを数値シミュレーションにて確認し,その内容を米国で開催された70th International Aeronautical Congressにて発表した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験装置開発の目標においては,3次元パラメトリックCADソフトを用いてプロトタイプ設計および小型軽量化に最適な機構レイアウトとなるモータ配置について検討を行い,パーツ製作に取り掛かれる状態まで到達した.
数少ない特異点を問題なく取り扱うことができる駆動則を考案することができ,その有効性を数値シミュレーションで検証することができた.また,当初の考えとは異なり,別のアプローチとしてモデル予測制御による駆動則も考え,特異点を陽に取り扱う必要のない駆動が実現できることも明らかにすることができた.
以上のことから,実験装置の開発は少し遅れ気味である一方,2年目の目標であった駆動則の考案部分で当初スケジュールより早期の目標達成ができたものと考えられ,全体として順調に進展していると判断できる.

今後の研究の推進方策

(1)実験装置の製作を推進する.特にジンバル駆動部におけるスリップリング軸接続・固定方法が懸案になっているので,早期に詳細化を行い,製作を行う.
(2)VSDGCMGに対するトルク発生反応速度の優位性検証
SPDGCMGのシザース・ペア角を90度に固定し,RW機能でもってジンバルロック状態を回避するVSCMG姿勢制御およびSPDGCMGのシザース・ペア駆動を用いた姿勢制御の比較実験を行い,ジンバルロック時におけるVSDGCMGに対するSPDGCMGのトルク発生反応速度の優位性を明らかにする.また,VSDGCMGのRW機能で同じ性能を実現するために必要なRW機能は現実的に可能か理論的に明らかにする.
(3)シザース・ペア機構故障とトルク発生性能との関係および対処ジンバル駆動則の検証
故障には,シザース・ペア部分に起因するもの,ダブルジンバル部分に起因するもの,およびその組合せが考えられる.うち,シザース・ペアへの置換によるデメリットの有無を明確にするため,シザース・ペアに起因する①シザース・ペアジンバルの停止,②シザース・ペアの不同調駆動,③ホイール角運動量の不均一化の3つを中心に,各故障ケースにおいてジンバル角駆動範囲によってCMG保持角運動量空間の変化を3次元視覚化し,トルク発生性能との関係を明らかにする.また,対処ジンバル駆動則を考察し,姿勢制御・姿勢追従制御に対する有効性・適用限界を,球面エアベアリングを用いた地上実験装置により明らかする.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス発生に伴い,基板製造を発注した中国での製造に遅延が発生し納品が遅れたこと及び機構部品設計の遅れに伴い加工費に計画とのずれが生じた部分が主な原因である.また,査読付き論文の査読・修正に時間がかかり,当初の見込みの年度内での掲載料支払に至らかなかった点も原因の1つである.
次年度使用額として生じた分は,実験装置の製作費(機構部品加工費)および学術論文の掲載費に充てる予定である.また,翌年度分として請求した助成金は,2年目以降の研究計画であるVSCMGとの比較研究実験,故障時の対処駆動則の研究に使用予定である.また,その成果を国内学会・学術雑誌等での発表のための経費に使用する.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [国際共同研究] Technologico de Monterry(メキシコ)

    • 国名
      メキシコ
    • 外国機関名
      Technologico de Monterry
  • [学会発表] Model Predictive Steering Control Law for Double-gimbal Scissored Pairs of Control Moment Gyros2019

    • 著者名/発表者名
      Kojima, H., Nakamura, R., and Keshtkar, S
    • 学会等名
      70th International Aeronautical Congress
    • 国際学会
  • [学会発表] Inner-singularity-free CMG System: Double-gimbal Scissor-paired CMG and Steering Control Law2019

    • 著者名/発表者名
      Nakamura, R., Kojima, H., and Keshtkar, S
    • 学会等名
      32nd International Symposium on Space Technology and Science
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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