研究課題
前年度までに実施した風ライダーシミュレーション実験で、明らかになった高度分布の高度割当の課題について、実験結果を詳細に調べ、高度割当が適切ではない箇所を特定した。風ライダーシミュレータの改良方法について検討を行い、シミュレータのアルゴリム改良を行った。改良したシミュレータを用いて、初期検証実験を実施したところ、高度割当が不適切だった箇所の高度割当が改善され、利用可能なデータ点数を増加できる事を確認した。本研究課題で用いた風ライダーシミュレータは、高解像度化に必要なパラメータ設定の煩雑さ、各高度での取得できるデータ点数において差違といった課題がある。これらの課題を解決し、限定したパラメータ設定でも、高解像度・高精度なシミュレーションが行える風ライダーシミュレータのさらなる開発が必要である。本研究は、欧州宇宙機関の風ライダー衛星 Aeolusより高い空間分解能を持ち、かつ、技術的に開発可能な風ライダー衛星に対して、空間分解が異なるシナリオの風データを疑似的に作成し、観測システムシミュレーション実験による数値予報へのインパクト評価から、数値予報に最適な風ライダー衛星の空間分解能と、観測シナリオについて明らかにすることを目的として研究を行った。研究期間全体を通じ、将来の風ライダー衛星の観測シナリオとして3シナリオを明らかにした。ライダー衛星による風観測の有効性を高めるために、最適な空間分解能の選択とデータ品質管理手法が重要であること分かった。また、観測システムシミュレーション実験の考察から、風ライダー衛星の風データは、数値予報による環境場の予測精度を平均的に最大3%程度まで改善するだけでなく、台風近傍等のように狭域的な現象に対しても改善する可能性があることを明らかにすることが出来た。
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