研究課題/領域番号 |
19K04853
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
武田 真一 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (60435815)
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研究分担者 |
小笠原 俊夫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20344244)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 複合材料 / 光ファイバセンサ / 樹脂硬化度 / 信号解析 / ライフサイクルヘルスモニタリング |
研究実績の概要 |
本研究では、航空宇宙用CFRP構造のライフサイクルヘルスモニタリングへの応用を想定し、TFBGセンサの多機能性に着目した。1つのセンサと計測系によって同時に、同一箇所で各物理量(ひずみ、温度、屈折率)を個別に推定評価する手法の確立が目標となる。 本年度は「TFBGセンサの透過スペクトル測定手法の構築および実験データ取得」を課題とし、最初に測定手法の構築を進めた。TFBGの透過光は、通信用として一般的に用いられるCLバンドだけでなくSバンドにも影響を与えるため、広帯域を網羅できる波長可変光源を用いた。TFBGの透過光からはコアモード、クラッドモード、ゴーストモードの3種が観察されるが、コアモードは相対的に損失が小さく評価が困難となる。そこで、サーキュレータ、アイソレータを組み込み、透過光と同時に反射光も同時測定が可能な光学系を構築した。次に構築した光学系を用い、ひずみ・温度・屈折率の条件を変化させ、TFBGセンサの透過光と反射光を測定した。 以上の結果、次年度以降の研究に繋がる測定手法が構築でき、妥当な実験データ取得が可能となり、本年度の課題を達成した。今回の試験条件ではグレーティング(屈折率変調部分)の傾き角が4度程度である場合、対象とする物理量の評価に適していることが明らかとなった。ただし、汎用の光ファイバを用い、ニ光束干渉法でセンサを製造した条件であり、来年度からはフォトセンシティブ光ファイバによる製造も追加し、実験データ取得と解析を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度以降の研究に繋がる測定手法が構築でき、実験データ取得により本年度の課題を達成し、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
取得した透過光スペクトルにおいて、特にクラッディングモードが広帯域に渡る損失を示しており、評価方法について工夫が必要である。ひずみ測定精度を向上できるような評価方法を提案することも目標の1つとしたい。課題解決のため、透過スペクトル波形の詳細な解析、特徴点の解明などをより一層進めることを方策とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新たな種類のセンサを対象として試験データを計測する必要が生じたため、センサ製造のための物品費を次年度に繰り越す。初年度に保有するデータのみを対象として早急に詳細解析を進めるより、高いレベルの研究成果が2年目以降に創出できると考える。
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