研究課題/領域番号 |
19K04856
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
竹山 優子 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (00510025)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 合成開口レーダ / Sentinel-1 / 海上風 / 洋上風力発電 / CMOD5.N |
研究実績の概要 |
洋上風力発電に資する日本沿岸域の風況把握の技術開発の1つとして,欧州宇宙機構によって運用されている人工衛星Sentinel-1に搭載された合成開口レーダ(SAR)を用いた海上風推定の精度検証および手法改善に向けた提案を行った. まず,精度検証として,日本沿岸の5海域(茨城沖,東京湾,大阪湾,四国沖,宮崎沖)を対象としてC-bandモデル関数(GMF)であるCMOD5.Nを用いた検証を行った.全825シーンのSAR画像データを用いた検証の結果,Biasは-0.47 m/s(-6.9%)~0.88 m/s(14.8%), RMSEは1.5 m/s (21.9%)~1.75 m/s(29.4%)であった.沿岸域のSAR画像には実測風速を計測機器が設置されている鉄塔,ブイ,桟橋や船舶などの人工構造物が多く存在し,本研究でも特に3m/s以下の低風速時これらの構造物からの強い後方散乱強度の影響で推定される風速が過大評価されるSAR画像が存在した.これらの影響を取り除くためにGMFへの入力前に平滑化を試したところ、著しい改善が認められた.また,この平滑化範囲は500 m程度が望ましいことも明らかになった.さらに,茨城沖のような遠浅の海域では沿岸域で波が砕ける砕波と呼ばれる現象が起こっており,海面粗度が高くなることによってSAR後方散乱強度に変化が起こり,結果として海上風速を過大評価していた.この影響についても平滑化によって低減可能であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定の通り,C-bandのSARを用いた手法の検討と精度検証が進められている.
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今後の研究の推進方策 |
今後,検討してきた手法を用いて年平均風速,ワイブル分布など洋上風力発電で実際に事業性評価に活用されている統計量をSAR画像より求め,その利用可能性について評価を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって予定していた国際学会への参加やフィールド調査がキャンセルとなった.翌年度の国際学会への参加や論文投稿費として使用予定である.
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