研究課題/領域番号 |
19K04868
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
西尾 澄人 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (20443244)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | バイオ燃料 / メタンスリップ / NOx / GHG / EGR |
研究実績の概要 |
本研究の目的はガス機関のメタンスリップとディーゼル機関から排出されるNOxを同時に低減するシステムの構築である。本研究ではガス燃料を一部の気筒で使用し、その排ガスを、バイオ燃料を使用する気筒にEGR(排気再循環)用ガスとして導入するシステムを提案している。この方式によりNOxが低減されると共に、メタンスリップも削減される。ただし、このようなシステムでは気筒間の燃焼のバラツキによる回転のバラツキや振動という問題が生じる。そこで、本研究では実験的に本システムの有効性を検証することとしている。 初年度である今年度は、3気筒エンジンの1気筒の燃料噴射量を他の気筒の燃料噴射量と異なる噴射量に変更して、気筒間の燃焼のバラツキが回転速度に与える影響を調べる実験を行った。本実験により、燃焼のバラツキが、回転速度のバラツキや最高等内圧などのバラツキに与える影響が分かった。 また、バイオ燃料に関する情報を入手するために、インドネシアのBPPT (The Agency for the Assessment and Application of Technology:インドネシア技術評価応用庁)とスラバヤ工科大学(ITS)を訪問し、意見交換を行った。まだ初年度であるため本研究課題で得られた研究成果ではないが、スラバヤ工科大学で開催された「International Workshop on “ Bio Fuels and Propulsion System”」において「Combustion of biofuel and biogas in a marine engine」を発表したが、この中で本研究課題において実施する予定の実験についても一部紹介を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である今年度は、3気筒エンジンの1気筒の燃料噴射量を他の気筒の燃料噴射量と異なる噴射量に変更して、気筒間の燃焼のバラツキが回転速度に与える影響を調べる実験を行った。本実験により、燃焼のバラツキが回転速度のバラツキや最高等内圧などのバラツキに与える影響が分かった。 さらに1気筒の燃料を他の気筒の燃料(重油)と異なる燃料(軽油)に変更できる異種燃料エンジンに改造して実験を行い、気筒間のバラツキの検証を行う予定であった。しかし、年度末に実験用エンジンの水動力計に不具合が生じ、1月半ばから3月末まで、水動力計を整備工場に移して整備することになり、エンジン実験が行えなくなった。このため、本実験は次年度早々に行う予定である。実験はまだ行っていないが、エンジンの改造はほぼ完了しており、研究の進捗状況としては、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については次のように考えている。まず次年度早々に、1気筒の燃料を他の気筒の燃料(重油)と異なる燃料(軽油)に変更しての実験を行い、気筒間のバラツキが回転数に与える影響を調べる。さらに、次年度は一部の気筒の燃料を他の気筒と違うメタンなどのガスの混焼が可能な異種燃料エンジンに改造して上記の実験を行う。上記の実験において、電子制御燃料噴射等を活用し、気筒ごとの燃焼のバラツキを低減するための燃料噴射制御方法を明らかにする。具体的には、燃料噴射時期や燃料噴射パターンを制御して、燃料の着火時期、最高筒内圧、図示平均有効圧、排気温度などを基にどのような制御方法がエンジンの安全運 転に有効であるのかを明らかにする。 最終年度は、EGRシステムを構築し、気筒ごとに燃料噴射制御を行い、気筒間の燃焼のバラツキ低減の実証を行う。併せて、排気ガス性状への影響も調べ、提案するシステムの有効性を検証する。本EGRは良好な燃料を使用した気筒の排気ガスを過給機前に戻す低圧EGRによって行う。本システムで有効性が確認できれば、高圧EGRにもつなげられると考える。なお、本実験エンジンは電子制御燃料噴射装置を併用する噴射系に使用可能であり、多様な燃料噴射制御を行い、気筒間の燃焼のバラツキを低減する手法を検討する。 なお、現在新型コロナウィルス問題により、在宅勤務などの対応によりエンジン実験に制約がかかることが推測されるが、必要最低限の実験は行うように調整しながら、今後の研究を推進していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、3気筒エンジンの1気筒の燃料噴射量を他の気筒の燃料噴射量と異なる噴射量に変更して、気筒間の燃焼のバラツキが回転速度に与える影響を調べる実験を行った。さらに1気筒の燃料を他の気筒の燃料(重油)と異なる燃料(軽油)に変更できる異種燃料エンジンに改造して実験を行い、気筒間のバラツキの検証を行う予定であった。 しかし、年度末に実験用エンジンの水動力計に不具合が生じ、1月半ばから3月末まで、水動力計を整備工場に移して整備することになり、エンジン実験が行えなくなった。 このため、本実験を次年度早々に行うこととするため、次年度使用額が生じた。さらに、次年度行うこととしている1気筒の燃料を他の気筒と違うメタンなどのガスの混焼が可能な異種燃料エンジンに改造して、気筒間の燃焼のバラツキが回転速度に与える影響を調べる実験も行う予定である。
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