研究課題/領域番号 |
19K04872
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
坂本 信晶 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (80550003)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 粘性CFD / プロペラキャビテーション / 界面捕獲法 / キャビテーションモデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、汎用ソルバーに比べ低い計算負荷かつ高次の計算手法を用いた、舶用プロペラキャビテーションの粘性CFD計算を可能にすることである。 研究計画において2年目では、年度前半までに既存粘性CFDソルバー(海上技術安全研究所にて開発を進めている船舶用CFDソルバー"NAGISA")を、二相流れを解くことが出来るように改良し、その後、初年度に開発を行った多次元THINC法に基づく界面捕獲スキーム、およびマイクロスケールキャビテーションモデルを実装することとしていた。 上記計画に基づき先ず、船舶用CFDソルバー"NAGISA"の二相流れ対応化を行った。次に、多次元THINC法に基づく界面捕獲スキームをNAGISAに実装し、静的・動的重合格子と組み合わせたベンチマークテストを通じて実装した手法の有効性・課題を確認の上、学会発表を行った。そして、マイクロスケールキャビテーションモデルとして、Schnerr-Sauer、Zwart-Geber-Beramri、およびKunzの各モデルをNAGISAに組み込み、2次元ClarkY翼周りを対象としたキャビテーション計算を通じて、実装したモデルの妥当性を検証した。これらの結果は、2021年8月に予定されている国内シンポジウムにおいて発表予定である。 本研究における開発のベースとなるCFDソルバー"NAGISA"の計算精度を、競合する他国のCFDソルバーと比較するため、ベンチマーク船型2隻を対象とした国際的な持ち回り計算を行い、NAGISAが他ソルバーに比べ遜色のない精度を持つことを確認するとともに、結果を取りまとめた国際ジャーナルの作成・投稿を他国研究者と共同で行い、ジャーナル採択に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目に実施予定としていた事項は、概ね達成したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、実装した界面捕獲法およびキャビテーションモデルの検証を実施中であり、これを可能な限り早く終わらせ、動的2次元翼、および3次元舶用プロペラを対象としたキャビテーション計算に移行していく予定である。これと並行し、キャビテーションモデルに簡易的な圧縮性の考慮、気泡核の成長速度の考慮するモデルの実装およびテストを行い、2年目に組み込んだキャビテーションモデルを発展させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内外における新型コロナウィルス感染症拡大のため、予定していた国内・国際学会発表がキャンセル、若しくはオンライン化したことにより、当初計上していた旅費の使用が無くなった。これらは、最終年度において調達を予定している計算機費用に充当する。
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