研究課題/領域番号 |
19K04874
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
高田 篤志 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (90470054)
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研究分担者 |
大沢 直樹 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90252585)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 塗膜下腐食 / 戻り錆 / 腐食進行シミュレーション |
研究実績の概要 |
水ブラスト処理後に発生する戻り錆と屋外暴露等で発生した錆の塗膜劣化に与える影響の差異を検証するため,ドライブラスト処理した試験板に水洗により戻り錆を発生させた試験板①と屋外暴露により発錆させたのち,パワーツールにて若干錆を残すように研掃処理した試験板②,一度塩水に浸漬し発錆させたのち,②の試験板同様パワーツールにて低研掃に処理した試験板③の3種の試験板を用意した.試験板に塗装する塗料は,実験室内で実用的な試験期間内で,錆の進展が観察できるように通常の市販されている塗料よりも防食性を落としたものを試作し,かつ塗膜下の錆の進展が観察できるように着色顔料等を抜いた透明な塗料を作成した.塗装された試験板は,マイクロスコープを用いて初期の錆の発生状態を観察し,記録を行った. 上記実験と並行して,塗膜下腐食進行シミュレーションを,腐食起点となる点錆が試験板上に最初から分布しているモデルに改良した.塗膜下に可溶性塩分が存在すると塗膜の剥離を促進することが知られている.また,水ブラスト処理では,被塗装面の可溶性塩分を洗い流す効果があることから,水ブラストによる戻り錆では,通常のドライブラストやぱわつーる処理時の残存錆よりも錆中に含まれる可溶性塩分等の汚染物質の含有濃度が少ないと仮定した.この仮定をもとに,可溶性塩分等の汚染物質の濃度差により塗膜が素地から剥離のまでの時間(塗膜が有効に作用している時間)が水ブラストによる戻り錆と他の要因での錆では異なるとし,その違いを検証できるモデルとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染防止対応で浸漬試験の実施および塗膜下腐食進行シミュレーションの海上技術安全研究所への導入が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
錆の発生原因の違いによる塗膜下腐食進行の違いを検証する浸漬試験を実施するとともに,錆の残存量と塗膜耐久性との関係の把握に必要な試験を実施するための試験板を作成するため,試験板の屋外暴露を浸漬試験と並行して実施する.屋外暴露終了後,除錆グレードを代えた試験板に対して透明塗料を塗装し,浸漬試験により錆の残存量と塗膜耐久性の関係を検証していく. 実験結果を用いて,改良した塗膜下腐食進行シミュレーションの検証を行い,必要に応じて改良を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染防止対応のため,出張等が制限されたため残額が生じた.生じた残額については,塗料を試作・塗装を行うメーカーとの打ち合わせ,および塗膜下シミュレーションの移植の際の旅費として使用する予定.
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