インターネット接続とその接続機器の社会一般での普及を受け、情報品質という観点から従来の市区町村等を対象単位とする特定領域全般に関してこれまでの一斉発信型の情報が個人や世帯単位の災害リスクの回避行動としての避難行動を促しうるのかについての考察を行った。その上で、従来型の情報提供方法の情報品質に関する課題を解決すべく、ミクロレベルの空間ともいうべき個別地点を共通項として、個別地点での災害の誘因となる自然外力についての情報をインターネット上から収集するとともに、個別地点の災害に対する物理的な脆弱性を示す素因についても、すでにオープンデータとして国や自治体から提供されている災害ハザードに関する情報についてWebアプリを介して統合的な利用を可能にする災害情報提供プラットフォーム「ハザードチェッカー」の機能充実のための改修を実施した。また「ハザードチェッカー」により提供する情報が居住地など個人の関心を持つ地点の災害リスクに関する理解の変容とその変容に基づく個人の災害準備行動の変容などにつながるのかなどをWeb調査により定量的に確認した。 また、災害ハザードと近年充実が図られている5次メッシュ単位での統計データを利活用することで、水害を中心に地点より大きな空間範囲であり、自治体境界より狭い範囲のメソレベル空間での被災リスクの深刻度別に、災害時に特段の支援が必要であると考えらえる人々や世帯の属性別のリスク暴露の状況の定量的把握、リスク暴露人口等の空間分布、その時系列的変化に関する定量的研究を行い、外国人や高齢者など、災害時に特段の課題を有する人々がリスクに曝露されている領域での増加と空間的分布の変化を確認した。
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