研究課題/領域番号 |
19K04889
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
伊呂原 隆 上智大学, 理工学部, 教授 (60308202)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 物流 / 倉庫 / オーダーピッキング |
研究実績の概要 |
本研究は、物流センターの生産性を向上する新たなオーダーピッキング方式を検討している。現状の問題点を解決する方法として、ピッカーがピッキングした商品を入れた箱を運ぶ簡易的な無人搬送台車を導入し、この無人搬送台車がピッカーの歩行を補うことによりピッカーの無駄な歩行時間を減らし、ピッキング作業に注力できる時間を長くできるような方式を検討している。 無人搬送台車が常にピッカーとともに移動するだけではピッカーの歩行距離削減にはつながらないことは明らかである。逆に、無人搬送台車がデポに待機しているだけでも意味がないので、最適点はその両者の間に存在することが予想される。 その最適点を探るため、昨年度は複数の通路から構成される物流センターを想定し、ピッカーと無人搬送台車の最適な協働方法を検討した。具体的には、ピッカーは基本的には各通路内を移動しピッキングした商品を通路入口へ置き、無人搬送台車は通路内には入らず、通路入口に置かれた商品を回収するようなシステムを考えたときに、無人搬送台車が担当する通路によって生産性にどのような変化がみられるかを考察した。ただし、無人搬送台車が担当しない通路についてはピッカー自身が物流センター内の商品回収場所までの搬送も担当するものとした。 この問題は無人搬送台車が担当する通路によってシステムの性能がどのように変化するか、そしてそれは、オーダー情報、複数オーダーのバッチング方法、商品配置方法などとどのように関係するのかを考察した。 本研究ではこの問題を混合整数計画問題として定式化し、1バッチあたりのオーダー数や無人搬送台車の速度等を変化させながら、メイクスパン(すべてのオーダーの総完了時刻)を最小化するような無人搬送台車の活用方法を分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎的な数理モデルの構築とそれを活用した数値実験を行うことはできたが、実規模問題に対応するような十分な成果を得ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに構築してきた数理最適化モデルは、小規模問題においては最適解を導出し問題構造の定義や分析には寄与するものの、実用規模の問題においては最適解を得られないだけではなく、実行可能解を導くことすら困難であることが多い。 そこで、今後の研究では、多少は解の精度を落としたとしても、現実的な時間で実用上問題がないような近似最適解を効率よく求められるような方策の検討を進めたい。 また、オーダーの組み合わせであるオーダーバッチングや商品配置方法などについても、無人搬送台車を活用する場合、ピッカーのみが担当する場合とはどのような点が異なるかについても合わせて分析を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大により、参加を予定していた会議が開催中止となり、次年度使用が生じた。感染の終息後、適切な会議に参加し、研究成果の公開ならびに最新の研究情報収集を行うために研究費を使用したい。
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