品質や医学等の領域では、多数の出力値を同時処理する必要性に迫られることがあり、多次元データ処理の合理的な方法が望まれていた。品質工学では、従来の判別関数のマハラノビスの距離を応用したMTシステムという方法が提示されており、技術的な応用事例の検討が望まれていた。 MTシステムは基準の構築とその識別性を、マハラノビスの距離やSN比などで示すものであることから、基本的に測定法や計測法の構築にも大きく関係する。また多次元データの配列関係が重要となるため、パターン認識の方法とも重複をすることから、多次元データのパターンの検討にもつながるといった、いくつかの重層的な課題に取り組む必要があった。 目的としては、大量のデータ(多次元データ)から規則パターンを抽出したり、その類似性や異質性を距離として定量化するところにあった。その対象を医学データに据えていたが、必ずしもそのデータにこだわる必要はなく、汎用的である方法であることがある程度検証できている。 多次元データ処理は大量のデータを元に、統計学をベースにしたり複雑な線形代数を使用することが多いが、今回の結果としては、n次元のデータを最小量の2次元に圧縮をしたり、パターンの差分情報を捉えて2乗和の分解により処理をする、品質工学でRT法といわれている方法を主に検討した。 品質工学でいうところのパターンとパターン差の情報抽出と定式化の意味が再構築できたこともあり、適用の汎用性が拡大したといえる。
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