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2021 年度 実施状況報告書

シビックテックコミュニティ内外における協働の発生・促進メカニズムに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K04902
研究機関札幌市立大学

研究代表者

小林 重人  札幌市立大学, デザイン学部, 准教授 (20610059)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード協働 / シビックテック / 技術者・非技術者 / ソーシャル・キャピタル / 自律性
研究実績の概要

本研究の目的は,シビックテックコミュニティ(以下,CC)を対象に,技術者と非技術者の協働がもたらす価値と協働に影響する要素を明らかにし,両者の協働がシビックコミュニティ内外で促進するメカニズムを解明することである.昨年度に実施した文献調査から,CCは目的活動的組織というよりも,共感する価値観の達成や自己実現を求めるコミュニケーション組織としての性格が強いことが判明している.
これまでに実施したアンケート調査の再分析からも,CCにおける協働が生み出す価値としては,アプリケーションの成果物の数というKPIではなく,協働することによって得られる多様な視点であったり,対話の場の創出,そして地域課題へのアプローチの修得や改善といった「活動の質」にかかわる部分が大きいことがわかった.そのイップで,アプリケーションを開発することが第一義的な価値であると捉えているコミュニティもあることから,CCそのものをひとつの枠組みだけで整理することの難しさについても明らかとなった.
生み出される価値の多様性について明らかにするために,CCと同じように技術者と非技術者の協働によってコミュニティを形成しているファブラボの事例についても文献調査を実施した.ファブラボも社会への創造的関与の機会を生み出す公共空間として機能しており,従来までの「購入と所有」という消費の価値観から「創作と交流」というものづくりの新しい価値観へ人々を変容させていることがわかった.その点についてはファブラボ全体の価値観に相当するものであり,人々が創造的行為に関与する大きな原動力となっている.おそらくCCに多くの人々が参加する動機もこうした理念への強い共感があるためであると推測される.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

令和3年度も,協働に影響を与える要素をCC内外でどのように生み出しているのか,そして協働によって生み出された要素がCCメンバーに対してどのように作用しているのかを明らかにするため,国内外のCCのメンバーだけではなく,地域団体の代表,公共セクターに対して半構造化インタビュー調査を実施する予定であった.
しかし,令和3年度も新型コロナウイルスの影響によって国内外での移動が制限され,またインタビューにおける感染リスクも大きいことから実施について令和2年度同様に見合わせることとなった.そのため,ものづくりの世界的ネットワークであるファブラボを対象とした事例の文献調査とこれまで実施したアンケート調査の再分析を実施することで,令和3年度に予定していた調査について一部見直すこととなった.

今後の研究の推進方策

令和4年度においても新型コロナウイルスの影響が大きく,引き続き国外の移動が制限されていることから,CCへの現地調査は困難となることが予想されている.そのため,事例については引き続きオンラインや文献を通じた調査を継続することで実現していきたい.また,令和3年度までに実施した文献調査と現在までに構築しているモデルを統合して,遅れているシミュレーションの実施を行っていきたい.

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は昨年度と同様に次の2点である.ひとつは,新型コロナウイルス発生の影響により,海外へ渡航しての対面調査ができなくなり,調査旅費が発生しなかったため.もうひとつは国際会議における成果発表の旅費も発生しなかったためである.
次年度は昨年度に執行できなかった計算機の購入を実施する.また,モデル構築に関して共同で研究を実施している北陸先端科学技術大学院大学の橋本敬教授と研究打ち合わせを実施するべく,そのための旅費を計上する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] Social System Design Lab

    • URL

      https://sites.google.com/site/shigetok/

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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