研究実績の概要 |
IoT (Internet of Things) の爆発的な普及により, あらゆるシステムがネットワークを通して監視・制御できるユビキタス社会が到来しようとしている昨今, システムを駆動するためのソフトウェアの性能低下が社会全体に及ぼす影響がこれまでにも増して著しくなってきている. 本研究では, わが国においてこれまで体系的に論じられることがなかったソフトウェア老化の実証研究を行い, テストにおいて検出することがほぼ不可能であるエージング関連バグの同定・検出を行うための統計モデルの開発, さらにはシステムを完全に停止することなく実行する低コスト耐故障技術としてのソフトウェア若化スケジュールを生成するためのオンライン適応予測アルゴリズムを世界に先駆けて開発した. 構築したクライアントサーバシステムを用いた計測実験を通じて, 実際のソフトウェアの運用期間中にオンラインで提示可能な最適な若化スケジュールに対する逐次生成の有効性を検証し, 多くの組込みシステムや IoTシステムに実装可能な高信頼化技術を開発することができた. 具体的に, システムリソースの消費過程を通じてソフトウェア老化が発生するメカニズムを高水準確率モデルで記述し, ソフトウェア老化現象に対処するためのシステム工学的アプローチを開発した. クライアント型サーバシステムの実験を通じて, 様々なリソース消費過程やソフトウェア老化現象を実機上で計測し, ソフトウェア老化現象を特徴づける統計量の抽出を行った. 老化に起因したシステム障害は極めて稀な事象であるので, 加速寿命試験の考え方を応用した実験環境を構築し, 老化現象によるソフトウェアの性能劣化を定量的に推定するための統計モデルを開発した.
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