研究課題/領域番号 |
19K04906
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研究機関 | 新潟県立看護大学 |
研究代表者 |
永吉 雅人 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (70426542)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 強化学習 / ナース・スケジューリングシステム / マルチエージェント / インタラクション / 共創 / 看護の質 / メンバーシップ |
研究実績の概要 |
本研究では、看護の質の向上を目指して、勤務表作成ルールの明確化・共有を通じた師長・スタッフナース間のメンバーシップ向上に寄与する強化学習と看護師長とのインタラクションに基づく共創的ナース・スケジューリングシステムを開発することを目的としている。そして本研究は、以下の3点から看護の質向上に貢献できると考える。 1.勤務表作成ルールの明確化・共有することによって、看護師長とスタッフナースとの間の相互理解や信頼関係につながり、勤務表作成を始めとした業務全般において、看護師長とスタッフナースのメンバーシップが向上する。 2.開発するナース・スケジューリングシステムによって、看護師長の勤務作成に関わる業務時間が軽減され、看護師長はスタッフナースの支援やOJT教育に携わることができる。 3.より良い勤務表によって、職場環境の改善および離職防止につながる。
そこで令和2年においては、共創的ナース・スケジューリングシステムの土台となるマルチエージェント強化学習の検討・実装段階において、強化学習エージェントの個性・多様性を創出する「認知の歪み」を利用した役割分化の促進法について、入力情報の統合・分割を行う状態フィルタを導入し,マルチエージェント強化学習における追跡問題を取り上げた計算機実験により、さらなる提案手法の個性・多様性の創出性能を確認している。これにより、開発する共創的ナース・スケジューリングシステムにおいて、スタッフナースの個性やライフステージやワークライフバランスに応じた勤務形態の多様性を生かしたより良いナース・スケジューリングシステムの実現性をより高いものとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、令和元年度において、強化学習によってナース・スケジューリングの質を向上することができることを明らかにする予定であった。しかしながら、新型コロナウィルス拡大防止に多大な時間を割かれた結果、令和2年度末においてもなおナース・スケジューリングへの強化学習の適用を進めている段階であり、令和3年度に計画がずれ込んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、①強化学習を用いたナース・スケジューリングシステムの開発、②強化学習と看護師長とのインタラクションによる勤務表作成ルールの明確化、③急な勤務変更への対応について段階的に開発を進めている。令和3年度は、①を9月までに完成し、10月から②を開始する予定である。 なお、本研究を進めて行く過程で新しく得られた知見・成果については積極的に国際会議、国内学会等で発表し、フィードバックを得ていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス拡大防止のため、各種学会の中止およびオンライン化による旅費削減が主たる理由である。令和3年度において、成果発表に努め旅費および論文投稿料として使用する。
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