研究課題/領域番号 |
19K04908
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
秋葉 知昭 千葉工業大学, 社会システム科学部, 教授 (60505767)
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研究分担者 |
山本 久志 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (60231677)
高橋 奈津美 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 講師 (60780319)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 多目的ネットワークシステム / 積層ネットワーク / 多次元・多状態ネットワーク / 最適設計 / パレート最適 |
研究実績の概要 |
本研究課題はシステムの構成要素である各エッジやノードに複数の情報が与えられ、かつ、(a) ノード間の連結が積層的(三次元形状)に表現される場合、および、(b) 各構成要素とシステムが二状態以上の複数状態に遷移することを考慮した多次元・多状態な多目的ネットワークの統一的な最適設計方法提案のための厳密解法提案を目的としている。本研究課題では主に統一的パレート最適解導出方法提案を目指し、研究を「研究準備」「多次元化」「多状態化」の三段階に分割して遂行し、これらの結果から統一的最適設計方法提案の実現を3年間で計画した。 2020年度は研究者間の交流や共同作業の実施が難しい状況となったが、(1)国内外の研究の再調査を実施し、グラフ理論研究の深掘りと、ネットワークにおける限定的な場合の一つであるConsecutive-kシステムの研究を整理して調査報告を行い、システムの信頼度の極限定理と最適配置問題の研究を進めた。また、(2)ネットワーク信頼度とコストの多目的ネットワークにおける効率的なパレート最適解算出方法の検討として、評価関数の一つである k 点間信頼度(k>0)の計算負荷問題を解決するために、メタヒューリスティクス(主に遺伝的アルゴリズム)を用いた場合の効率的解空間制限の検討を進め、効率よくk点間信頼度とコストのパレート最適解を得るための算出方法を検討した。加えて、緩和問題の可能性と全点間信頼度の近似解法の当該問題への応用可能性を検討した。この検討内容は(3)積層ネットワークの単一層を部分ネットワークと捉えた場合の、各層のパレート最適解と全体との関係と、層ごとの連結関係のパレート最適解への影響に注目した議論の雛形となっている。また、多層化した積層ネットワークと多状態ネットワークの統一的評価指標の基礎を確認した。上記の研究成果を論文3本,国際会議2件,国内会議2件発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
関連研究の再調査は継続して行う課題であり遅れは無い。調査論文をまとめて発表したことで本研究課題の遂行に不足な部分も見えてきた。 多目的ネットワークにおける効率的なパレート最適解算出方法の検討は、メタヒューリスティクスによる近似解導出に関する考察が進んでいる。しかし、評価尺度の一つであるネットワーク信頼度の厳密解算出は、計算負荷が高い状態である。そのため、ネットワーク信頼度計算を高速化するためのアルゴリズム検討が今後さらに必要であることを確認できた。併せて,国際的情勢から国内外研究者との議論があまり進んでいない。そのため、多目的ネットワーク評価の多次元化と多状態化への取り組みの進捗に遅れを生じさせていると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
多目的ネットワークの多次元化と多状態化に応じた評価指標の再定義と、多目的ネットワークの連結構造が持つ特徴の抽出を優先的に取り組む。特に後者について考察を進め、部分ネットワークのパレート最適解(厳密解)を効率よく求める解法の提案を目指す。同時に、ネットワーク信頼度計算を高速化するためのアルゴリズム提案を行う。この結果を踏まえ、多層化、および、多状態化した多目的ネットワークの評価方法の提案の礎になるパレート最適解(厳密解法ならびに近似解法)導出方法の提案を目指す。 これらの成果をまとめて整理し、最終的な多次元・多状態の多目的ネットワークの評価方法の統一的解法提案に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦により参加予定していた学会が中止となったことが最大の理由である。また、研究者間の議論もスムーズさに欠けたため、機器等の購入の遅れや論文投稿の遅れも発生している。2021年度も状況は変わらないことが考えられるが、昨年度に比してオンライン開催の学会も増えてきているため、積極的に議論を進めて新たな提案を行い、国内外の学会参加や学術雑誌等への論文投稿の準備、並びに論文採択に努める。次年度使用額はこれらの費用に充当する。
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