研究課題/領域番号 |
19K04915
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
高野倉 雅人 神奈川大学, 工学部, 准教授 (00333534)
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研究分担者 |
川上 勝 自治医科大学, 看護学部, 准教授 (50382958)
滝 聖子 千葉工業大学, 社会システム科学部, 教授 (50433181)
山田 哲男 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90334581)
荻谷 光晴 神奈川大学, 工学部, 助教 (00509086)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 経営工学 / 介護業務マネジメント / ビッグデータ / 従業員・顧客満足 / 支援技術 |
研究実績の概要 |
2019年度は,データ活用による介護業務と送迎サービスのマネジメント,新技術の介護サービスへの導入と活用,従業員・顧客満足度を高めるジョブデザインと技能伝承に関する研究を実施し,以下の成果を得た. ①介護業務と送迎サービスのマネジメント:デイサービス施設を対象に,数理最適化手法を活用して,業務負担の平準化を実現できる利用者への介護スケジュールを構築し,その有用性について考察した.また人間中心設計アプローチにもとづき,介護職員や利用者の状況や要求事項を分析して,送迎サービスを支援するスマートフォンアプリケーションを開発し,そのユーザビリティを検証した. ②新技術の介護サービスへの導入と活用:コミュニケーションロボットをデイサービス施設のレクリエーションプログラムに導入する実験を行い,ロボット技術の適切な介護サービスへの導入方法について考察した.またインクルーシブ・デザインアプローチを適用して,言語障がい者の日常生活や言語機能訓練をサポートするシステムを開発し,その有用性やユーザビリティを検証した. ③従業員満足度を高めるジョブデザイン:異なる高齢者施設の介護職員を対象とした職業ストレスアンケートを実施し,介護職員の職務とその満足度との関係について分析した. ④成果発表および現状調査・情報収集:日本福祉工学会で論文を出版するとともに,AmI&E2019, APIEMS2019など国際会議や国内学会で発表した.また研究発表において,他の研究者と議論し,国内や海外の現状と課題に関する情報を収集した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,日本の社会的課題である介護サービスの充実を目指し,人間中心設計アプローチを活用して,必要なサービスを必要な時に高い質で適用できるマネジメントシステムの創成を目的としている.2019年度は,①介護業務と送迎サービスのマネジメント,②新技術の導入と活用,③従業員満足度を高めるジョブデザインに関する研究を実施した.特に②で査読付き原著論文を出版した他,①でも原著論文1編が査読を経て受理された.また①~③において,国内学会および国際会議で研究成果を発表して,他の研究者からも高い評価を受けている.引き続き2020年度も複数の研究発表を計画している他,論文投稿も予定している. 以上のように,2019年度の研究実施計画をほぼ達成できており,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,2019年度に引き続き,データ活用による介護サービスのマネジメント,新技術の介護サービスへの導入と活用,従業員・顧客満足度を高めるジョブデザインと技能伝承に関する研究に取り組み,その研究成果を発表する. ①データ活用による介護サービスのマネジメント:介護業務や送迎サービスを対象に,高齢者施設のリソースとそのフローを可視化するとともに,可視化したデータを活用することで,効果的・効率的な介護サービスのマネジメントに取り組む. ②新技術の介護サービスへの導入と活用:デイサービスなど通所型施設において,機能訓練の他にも認知症予防など複数の介護サービスが実施されている.また言語障がい支援にも,障がい者一人ひとりの状況や生活に応じたサポートが必要である.高齢者や障がい者一人ひとりのニーズや生活スタイルを適切に配慮した人間中心アプローチによる新技術の活用に取り組む. ③従業員・顧客満足度を高めるジョブデザインと技能伝承:職業ストレスアンケートなどの結果をもとに,高齢者施設の機能・業務と,施設に勤務する介護職員の職務満足度との関係を分析し,介護職員だけでなく施設でサービスを受ける高齢者の満足度を高められるような職務設計と技能伝承に関する研究に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
介護サービス・マネジメントシステムの創成において,介護業務や送迎サービスの分析,新技術の導入,顧客満足度を高めるジョブデザインに関する研究に取り組んだが,システム開発や介護職員・利用者アンケートに必要な物品の購入額が当初の予定よりも少なかった. そのため,次年度使用額を生じたが,引き続き,3テーマの研究で実施する実験やシステム開発に必要な物品,従業員・顧客アンケートの実施に必要な消耗品の購入に使用する.また,高齢者施設での調査や成果発表のための旅費に使用する.
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備考 |
高野倉雅人,障がいのあるユーザー中心視点のシステムデザイン,オーサーズカフェ(ユニコムプラザさがみはら),2019年5月
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