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2019 年度 実施状況報告書

重力環境の違いに着目した消火設備・消火戦術の高度化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K04925
研究機関八戸工業大学

研究代表者

工藤 祐嗣  八戸工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80333714)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード微小重力燃焼 / 燃え拡がり / 赤外線カメラ / 予熱領域長さ
研究実績の概要

2019年度は時間応答性が良く,小型の実験装置に使用可能な試料表面温度測定装置を開発し,予熱長さの時間変化を測定することで,燃え拡がりにとって重要な予熱長さ変化の時間追従性について調査した.小型かつ安価な赤外線カメラモジュール(FLIR社製Lepton)を用い,小型のシングルボードコンピュータ(Friendly Electronics社製Nano Pi Neo)を制御用および画像記録用に接続した.制御用ソフトウェアはv4l2leptonおよびv4l2loopbackをソースコードからコンパイルし,記録用ソフトウェアはffmpegをコンパイルした.縦55mm×横55mm,長さ240mmのアクリル製風洞を上方および下方に45°の角度で傾けることのできる架台に組み込んだ.赤外線カメラモジュールは風洞天井部に3Dプリンタにより作成したマウントプレートを介して設置した.このプレートには赤外線通過窓と拡大レンズを兼ねる目的で,シリコン平凸レンズ((株)アイ・アール・システム扱い)を組み込んでいる.落下実験に用いるセロハン紙(厚さ0.021mm)およびろ紙(厚さ0.25mm)を試料とし,通常酸素濃度の対向気流速度11cm/sの条件下で下方燃え拡がりから上方燃え拡がりへ変化させた瞬間の追従性を確認する実験を行った.試料に薄いセルロースを用いた場合,燃え拡がり方向の変化に伴って明確な予熱領域長さの変化が見られ,約0.3秒程度で気相の変化に追随していることがわかる.一方,ろ紙の場合,約1秒間程度掛けて徐々に変化し,熱慣性の影響がセロハン紙に比べ大きいことがわかる.以上の結果より,試料に薄いセロハン紙を用れば,熱慣性の影響は0.3秒間程度に限定され,短時間落下実験において落下後半であれば,熱慣性の影響をある程度排除できているといえる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた予熱領域長さの測定ができる小型落下塔試験に適用可能な赤外線画像装置の開発は予定通り完了した.実験試料に薄いセロハン紙を用いることで,指摘されていた熱慣性の影響を除去できることが明らかとなり,実験データの妥当性を確認することができた.以上の結果より,概ね順調に研究が進展しているといえる.

今後の研究の推進方策

小型落下塔による落下実験実験で得られたデータと比較対象となる小型区画実験装置の作成と実験実施の必要がある.低酸素濃度条件下で特徴的なゴースティング火炎の発生条件を明確にし,この条件と落下実験によって得られるLOL(Low Oxygen Limit)との関連性を明らかにするための基礎データとしたい.実験装置は耐火断熱ボードで構成されたものであるが,容積が小さいため,従来のガスサンプリング法で酸素濃度測定を実施すると,換気量に影響を与え,適切な条件で実験できないことになる.区画内のガスを吸引することなく酸素濃度を測定する方法として,自動車エンジンの排気ガス濃度抑制制御に用いられるリニア酸素濃度センサの本研究への活用を検討している.このセンサを利用することで,区画内の流れ場に大きな影響を与えることなく酸素濃度測定が可能であり,吸引による測定時間差の問題も避けることができ,精度の良い酸素濃度測定が可能となる.

次年度使用額が生じた理由

赤外線カメラモジュールの使用にあたり,以前購入していたカメラモジュールを使用しても十分な解像度で測定が可能なことが判明した.また,制御用コンピュータおよびソフトウェアの開発が必要となったが,安価なシングルボードコンピュータおよび販売代理店により無料公開されているソースコードのコンパイルにより対応可能であることが研究途中で判明したため,他予算での対応が可能となった.来年度以降,小型区画火災実験装置の構築および3Dプリンタにより作成した実験装置部品の改良に翌年度分予算を使用する計画である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 固体表面上の燃え拡がりにおける予熱長さ測定法の開発2020

    • 著者名/発表者名
      工藤祐嗣
    • 学会等名
      2020年度日本火災学会研究発表会(弘前)

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公開日: 2021-01-27  

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