研究課題/領域番号 |
19K04934
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
脇田 由実 大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 教授 (10590359)
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研究分担者 |
中藤 良久 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (10599955)
松田 千登勢 摂南大学, 看護学部, 教授 (70285328)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 理解力衰え推定 / 目標会話識別 / 応答時の非言語情報 / 時間変化成分 |
研究実績の概要 |
1.評価用高齢者データベースの構築:2019年度に契約締結し実験環境を構築した特別老人ホーム2カ所にて、利用者様6名の7会話分をビデオ収録した。さらに収録データに会話者の話の理解度タグと頭部分の輝度値及び音声のピッチとパワー値の分析結果を付与しデータベース化した。コロナ禍により老人ホームでのビデオ収録が中断した。かわりにWEB会話を用いた衰え推定手法評価も視野に、WEB会議ツールを用いたオンライン17会話のビデオ収録を追加実施した。 2.目標会話識別法の改良と評価:上記収録データには談話室のテレビ音や介護者様の呼び声など想定外雑音が頻繁に混在していた。2019年度に提案した会話特定法は音声のピッチ・パワーの時間変化度を用いるが、上記雑音対策を強化するため、時間変化度にパワー値で重みを付ける改良手法を構築し評価した。その結果会話特定率が87.8%となった。本成果を国際学会にて2件発表した。内1件(①)は論文掲載に至った。①"Identification of target speech utterances from real lounge conversation",HCI2020 ②"Evaluating target utterance identification method using practical free conversation",IICAIET2020 3.衰え推定モデルの評価:頭の動作や音声のピッチ・パワーを用いた会話理解力の衰え度推定性能を、上記収録データにて評価した。その結果、会話理解力衰え推定率が83,3 %であった。本成果を国際学会にて2件発表した。内1件(①)は論文掲載に至った。①"Age-dependent degradation estimation focusing on dynamic features of head motion in daily conversation",GCCE2020 ②"Effectiveness of dynamic image features for estimating daily conversation atmosphere",IICAIET2020
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・コロナ禍により老人ホームでの収録数が大幅に予定数を下回った。本年度に老人ホームにて50会話収録の計画であったが収録実績は7会話分に留まった。この対策として以下2種類のデータ収録を追加した。①学校談話室での高齢者による自由会話の20会話の収録を行った。②高齢者も多く利用しているWEB会議ツールを用いてWEBオンライン会話から衰え推定を行うことを考案した。WEB会議ツールによる自由会話17会話分を追加収録した。 ・次年度予定していた老人ホームでの衰え推定手法の評価および周辺音声から目的会話のみを特定する手法評価を、現場収録データを用いて前倒しに実施した。老人ホームにおける会話特有の雑音課題が顕在化したので対策を行った。目標会話特定率87.8%、会話理解力の衰え度推定率83.3%となった。 ・次年度にコロナ禍が継続することを予測し、既に準備できている老人ホーム現場でのシステム評価の実施機会を図ると並行に、オンライン会話を用いて衰え推定手法を評価を実施したい。オンライン会話評価システムの開発を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
・衰え推定システムの改良。応答部分の短い発声に対する衰え推定性能が低い課題を解決するため、雑音下に頑健なピッチ抽出手法に改良する. ・老人ホームにて評価実験が可能な場合は、まだ評価用会話データが少ないので、老人ホームでの会話データ収録を追加し、衰え推定手法評価を実施する. ・現地にての評価実験が難しい場合は、オンライン会話による衰え推定システムの開発を行い、さらにオンラインでの高齢者自由会話の収録を追加し、衰え推定手法評価を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
・国際学会のオンライン開催による旅費の未使用分:本年度(2020年度)は3つの国際学会に4つの論文投稿発表を行ったが、全てオンライン開催であったため、渡航などの旅費費用分が未使用となった。来年度は2つの国際学会発表と2つの国内学会発表を予定しているが、1つの国際学会と国内学会はまだ開催仕様が決定していないため、現地にて行われる場合は海外渡航費用及び国内旅費として利用したい。 ・特別老人ホームでのビデオ収録及びデータ作成作業のための人権費の未使用分:ビデオ収録作業と収録データへのタグ付けや分析作業がコロナ禍にて中断したため、作業用人権費が中断後未使用となった。コロナ禍対策としてオンライン会話の収録を開始しているため、次年度は本作業を加速化実施する予定で、作業用人権費に充当したい。 ・コロナ禍対策として、上記オンライン会話による衰え推定技術評価に変更する予定である。次年度はオンライン会話向けシステム構築のためのパソコンや周辺機器の購入と開発ツール購入費に充当したい。
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