塗装や印刷の連続炉を想定した内容積303 Lの強制対流式恒温槽内で揮発した有機溶剤(シンナーまたは単一成分)蒸気の、同一の槽内における槽内の熱を用いた触媒酸化を試みた。 槽内温度250℃の時、市販の工業用白金従来触媒では酢酸エステルが完全酸化できず残存した。Co-Ce酸化物触媒ではトルエンのほか、酢酸エステルの加水分解や酸化により生成した成分が完全酸化できなかった。 トルエン等の芳香族炭化水素類と酢酸エステルを同時に低温で酸化させるため、研究代表者らはこれまでCo-Ce酸化物と白金触媒の組み合わせについて検討してきた。典型的な塩化白金酸原料では凝集が進み担持できないが、分散剤で保護された白金コロイド原料を用いることにより、Co-Ce酸化物上に白金を均一に担持させることができた(担持した白金の粒径は、市販の工業用触媒の白金粒径よりも大きい(粒子の表面積が大きい)ことを確認している)。 この白金担持Co-Ce酸化物触媒を使用することによりトルエン、酢酸エステル、さらに上記の加水分解成分等をほぼ完全酸化させることができた。一方、市販白金触媒、Co-Ce酸化物触媒適用下で槽内温度を230℃に下げると多環芳香族類の副生成が顕著に認められ、表面への凝集が懸念された。白金担持Co-Ce酸化物触媒では、これらの成分がほぼ副生成することなく酸化できた。 以上に記述した結果のほか、基礎活性評価、塗装ブース吹き付け排ガスを利用した処理性能評価、溶剤酸化によるガス温度上昇と二酸化炭素生成との関係の解析等に関し、研究成果報告書に記載した文献により成果の公表を行った。
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