研究課題/領域番号 |
19K04953
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
樋口 佳樹 日本工業大学, 建築学部, 准教授 (80644814)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | コンポストトイレ / 在宅避難 |
研究実績の概要 |
本研究課題として2つ設定している。 課題1の「ローコストで自作が可能なコンポストトイレの検討(住宅用)」については、攪拌しないで済む積層型のコンポストトイレを設計、試作した。設計にあたり、攪拌する機構にどうしてもコストがかかってしまうことが判明し、ローコストで攪拌できる機構の検討を進めていたが、電力を使用しない生ごみ処理装置を参考にし、攪拌しなくても、1か月継続利用が可能なコンポストトイレを目指す方針に変更した。ただし、積層型コンポストトイレは、排泄後に毎回、腐葉土を投入するため、内容物が増える傾向があると予想される。したがって、今後は被験者実験を通して、1か月継続利用が可能かどうかを検証する。装置の設計に時間がかかり、試作までは達成できたが、今年度実施予定の性能検証については実施できなかったため、次年度実施することとした。 課題2の「日常でも災害時でも継続的に使用可能な自己処理型循環トイレの開発」については、主に傾斜土槽法による尿の浄化について検討を進めた。簡易な傾斜土槽装置を作成し、基礎実験を行った。結果として、現状の傾斜土槽装置にそのまま尿を流しても、BODと窒素について、高い浄化性能は得られないことが判明した。これにより、自己処理型循環トイレの設計に入る前に、尿の浄化について新たな対応策を検討することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題1については、攪拌機構の検討に予想以上に苦戦を強いられたが、積層型コンポストトイレとすることで、大きなコストダウンは実現できた。性能検証の部分で遅れを生じているが、課題としては着実に進んでいる。 課題2については、尿の浄化性能を向上させる対策が追加で必要となったことで、自己処理型循環トイレの設計と、大学内コンポストトイレ実験棟の改良工事が遅れているが、尿の浄化システムの新たな改善案を立案できているため、令和2年夏には計画が進められると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
課題1については、被験者実験をすすめて、試作した積層型コンポストトイレの性能検証と組み立てマニュアルの作成を行う予定としている。性能検証については、1日4人の排泄を長期間実施し、在宅避難用として普及が可能かどうかを検討する。 課題2については、尿の浄化方法として、砂糖などの添加剤を入れるとBOD除去率が向上する可能性があることや、刀豆を尿と接触させることで尿素が分解されてアンモニアが生成されることが分かったため、これらの検証を行い、装置に追加する。その結果をみて、大学内のコンポストトイレ実験棟の改修工事を実施し、尿と糞便の両方の被験者実験を進めていく予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行した。 具体的には、被験者実験の実施とコンポストトイレ実験棟の改良工事、分析に伴う機器の購入を次年度に予定している。
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