研究課題/領域番号 |
19K04954
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小田 憲一 日本大学, 理工学部, 准教授 (70632298)
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研究分担者 |
小林 義和 日本大学, 理工学部, 教授 (20339253)
上石 勲 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 契約研究員 (60455251)
中村 勝哉 日本大学, 理工学部, 助手 (70843548)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 人工雪崩 / 移動物体 / 形状抽出 / マイクロ波ドップラーセンサ / 雪と土砂 |
研究実績の概要 |
本研究は,土砂を含む雪崩の流動過程を物理的かつ定量的に把握することが可能な観測技術の確立を目指し,これまでに申請者が行ってきた小規模な人工雪崩のノウハウを活用し,流下中の雪崩を観測時に撮影した動画像から画像解析によって3次元的に復元させつつ,雪崩内部で土砂がどの位置に分布しているかを最新の非破壊検査技術によって追跡することで,土砂を含む雪崩のダイナミクスについて力学的な視点からメカニズムの解明を進めている。 当該年度が最終年度であったが,コロナ禍の影響で順調に進めることができなかった期間を鑑み,研究期間を延長することとした。 前年度から目標であった,実スケールへの適用は,マイクロ波ドップラーセンサで雪崩内部の土砂がどの位置に分布しているかを正確に抽出する方法に検討事項が残っていること,実スケールを実現するためのサイト確保が難しいことから,数値実験への変更を検討することとし,延長期間に追加する。 なお,これまでに得られた知見を広く公開する目的で,今年度はISSW2023(INTERNATIONAL SNOW SCIENCE WORKSHOP 2023)にて発表を行った。発表では,移動物体にマイクロ派を照射し,マイクロ波ドップラーセンサで得られるIQ信号の時間変化から反射係数を求め,この反射係数の違いを移動物体ごとに比較することで,土砂が含まれた雪崩であるかどうかを検出する方法について検討した結果を公開した。 次年度は,さらに分析をまとめた内容で外部への公開を目指す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画であった実スケールの計測ではなく,数値実験へ変更するが,移動物体を発生させる装置や形状観測用のアクションカメラ等,観測環境の整備強化を進め,一部は実験を終えているため,モデルケースとしてこれまでに得られた結果を比較して次年度は研究を進める。 また,マイクロ波ドップラーセンサを用いた物体内部の把握についても,今年度も改めて雪崩を模擬した雪を対象とした計測を再度行い,マイクロ波ドップラーセンサの特性を整理し,対象とする物体の位置を大まかに把握することができている。 残る課題は,より正確な対象物内部の位置情報を得ることや,実スケールへの拡張であるが,前述のとおり数値実験での検討を通じて結果を得る予定である。 以上のことより,本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに,流下中に物体の形状が変化しない場合を対象とした3次元形状の抽出が可能となっている。一方で移動物体の3次元形状を抽出する際,移動物体の位置情報を正確に捉えるための特徴点はあらかじめ把握できていることが望ましいが,雪崩のような移動に伴って形状が変形する現象に対して一定の特徴点を定めることは容易ではない。本研究でも同様の課題解決が残っており,引き続き形状が変化する物体に対しての特徴点設定について検討を進める。この点に対し,次年度では数値実験による検討を行う。 また,物体内部の構造を把握する目的で用いたマイクロ波ドップラーセンサに関し,土砂を含んだ雪内部の土砂位置を把握する際には,複数の視点からマイクロ波を照射することを想定していたが,センサの指向性に配慮しなければ目的としている正確な位置を把握できない可能性が考えられる。この点についても,数値実験による計測環境の検討を行い,実スケール計測において必要な設置条件を決定してゆく。 最後に,これらを実スケールへ拡張するために,野外観測用のシステム構築で必要な環境について整理する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に実スケール計測を想定していたが,年明けの能登沖地震や急な降雪等で安全に実施する場所を確保することが難しかった。また,今後も実スケールへの適用を早急に準備することが難しいことが予想されるため,数値実験による分析に計画を変更し,コロナ禍で研究が中断されていた期間の影響も鑑み,次年度まで研究期間を延長することとした。そのため,次年度使用額が生じている。次年度は主に論文投稿費用として使用する計画である。
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