最終年度の令和4年度においては、(1)行政等への聞き取り調査及び対策のコストパフォーマンスの検討に基づき、提案した仕組みの実現可能性の検証を行ったうえで、(2)令和3年度に、ケーススタディから一般化した低未利用地を活用した津波避難安全性向上手法の別の地区への適用可能性を検証するために、沼津市内浦重須地区をケーススタディ対象地区とし、当該地区の低未利用地の現況調査、(3)低未利用地の活用による津波避難安全性の向上効果の計測を行い、それらの結果に基づき、(4)当該モデルの他地区への適用可能性を明らかにした。 事業期間全体を通しては、①低未利用地を活用した津波避難安全性向上手法構築のためのケーススタディ地区として沼津市戸田地区を対象とし、地区実態に即した現状の避難安全性の分析を行った。具体的には、まず想定される南海トラフ地震の津波遡上シミュレーションを実施し、次に現状の避難路ネットワークを前提とし、揺れによる沿道建物倒壊率の推計等に基づき、地点ごとの避難可能率や避難猶予時間を求めた。②ケーススタディ対象地区内での低未利用地の空間実態の把握と空き家の除去や避難路としての暫定利用による避難安全性向上方策の検討を行った。③ケーススタディ対象地区における低未利用地の暫定利用による避難安全性向上効果の評価、具体的には、避難可能率の向上効果、避難時間短縮効果、避難困難人口減少効果等について定量的に明らかにした。④低未利用地の避難路としての暫定利用の仕組みの構築とその実現可能性に関し、行政等への聞き取り調査及び対策のコストパフォーマンスの検討に基づき、提案した仕組みの実現可能性を明らかにした。⑤低未利用地の暫定利用による避難安全性向上のためのまちづくり手法の一般化と他地区への適用可能性の検討のため、新たなケーススタディ対象地区として沼津市内浦重須地区を対象として、その適用可能性を明らかにした。
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