研究課題/領域番号 |
19K04956
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
渡辺 浩 福岡大学, 工学部, 教授 (60244109)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 流木材 / 災害復旧 / 土木用材 / スギ材 |
研究実績の概要 |
山間地の豪雨により発生する流木材は、大量に発生するもののほとんどが利用されておらず、莫大な費用を投じて廃棄処分しているのが現状である。これらは損傷を受けている可能性があり、見た目や印象もよくないため、伐採材と同等の用途創出は考えにくい。そこで低品位でも利用可能であり、災害時にこそ大量に必要となる災害復旧用土木用材への適用可能性を検討している。 そこでまず、河川を加入まで流下したもの(流下材)、中流のダムで捕捉されたもの(漂着材)、流出したものの林地内に留まったもの(倒木材)という排出源が異なる3種類のスギ流木材を40本の曲げ試験を行った。その結果、排出場所と外観の損傷を適切に評価すれば、一般材と同等に利用できるほどの強度性能を有していることがわかった。 次にその利用システムに関する検討を素材生産業者や製材業者、流通業者、発電用チップ材取り扱い業者からのヒアリング等を参考に進めた。その結果、災害時にのみ膨大な量が発生することから計画性を持ちえないことがわかった。このため、常時の木材利用の需給システムに組み入れることは難しく、災害復旧用資材としての利用が好ましいことが示された。また、材の割れ目等に小石や砂等の異物が混入していることが多くあり、これが工場火災の原因となり得るので通常の製材工場では製材できないこともわかった。このため、なるべく製材・加工しない利用法が推奨されることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べたように、流木材の強度性能に関する知見は実験により得られている。利用システムに関しては加工を少なくすることと、災害対応用資材として使用することが望ましいことはわかった。ただし具体的な用途の検討はこれからである。
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今後の研究の推進方策 |
流木材は豪雨災害時にしか入手できないため、さらなる試験材の調達が可能であれば強度性能の精度向上に努める。あわせて土砂がどれほど混入しているのかとそれが利用に及ぼす影響について検討する。実際の利用法については、現状の低質な木材利用の需要先を需要家への聞き取りを踏まえて調査するとともに、利用拡大に対する社会的支障、流木材と伐採材の単価や処理コストを勘案した資産価値の検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響により、想定していた研究活動が困難であった。これは次年度に実施・遂行する予定である。
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