豪雨災害の度に発生する流木は、大量で処理コストが大きいことから有効利用によりその費用を捻出できることが望ましい。現状はバイオマス等の低位利用が大半であるが、用材利用ができれば売却益も大きくなり、処理費用の縮減に大きく貢献できるはずである。 そこで用材利用の基本となる強度試験を、損傷度が大きいと考えられる河川流下材、損傷度が小さいと考えられる林内倒木材とダム漂着材のぞれぞれに曲げ破壊試験を実施した。その結果、損傷が大きいと考えられる流下材であっても大半の材は設計基準強度を上回ること、外観目視で選別すれば設計基準強度を下回る材を除去できることから、用材利用にあたって強度はほぼ問題にならないことがわかった。 加えての課題は、微細な砂の混入である。これは切削加工時の刃物の傷みの原因になるコトに加え製材工場の火災の原因にもなる。これについて製材業者と解決法を模索したが、集塵機を備えない開放的な製材工場での加工する以外に有効な方法は見いだせなかった。 製材が難しい流木材の用材利用には、最小限の加工で利用できる方法が求められる。加えて流木の発生に計画性がなく、一度に大量に発生することを考慮すると災害復旧現場での利用が好ましい。そこで、仮設落石防御工をモデルに利用法の検討を進めた。 混乱した被災地での用材利用の促進には、流木集積時の選別が重要である。そこで発生源毎に搬入場所を決めるだけでも利用を促進できることを示した。近年ではバイオマス発電のためのチップ材の需要が高まっているが、その用材の受け入れでも質的選別がなされている。以上のことから、上質なものは用材利用、中庸なものはバイオマス燃料、低質なものは処分とする道筋を立てること、仕分けの手間を減らすため集積場所を区別することで有効利用の促進が図れることを示した。
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