研究課題/領域番号 |
19K04961
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大谷 竜 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (50356648)
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研究分担者 |
兵藤 守 国立研究開発法人海洋研究開発機構, その他, その他 (00415986) [辞退]
橋本 学 京都大学, 防災研究所, 教授 (20293962)
隈本 邦彦 江戸川大学, メディアコミュニケーション学部, 特任教授 (20422016)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 南海トラフ地震 / 臨時情報 / 不確実性 / メディア |
研究実績の概要 |
昨年度の検討結果をもとに今年度は実際のアンケート調査を関西大学と共同で実施した.南海トラフ地震臨時情報は,高い確度での地震予測は困難であるという前提のもと,情報が発表されても「日常生活を行い」つつ,「日頃からの地震への備えの再確認」等,一定期間地震発生に注意した行動をとることを原則とするといった制度設計であった.しかしながらこうした対応方針となった考え方や背景等に関する説明が,国からの普及啓発資料には明示されていないため,従来の東海地震予知情報と同じように,臨時情報も確度の高い地震発生予測が可能であるとの認識がもたれている可能性がある. こうした問題意識の下,臨時情報が発表された場合,住民はどのくらいの確率で地震が発生すると認識しているのか,どのような防災対応を取るのかを明らかにするためのインターネット調査を実施した.東京都,静岡県,愛知県,大阪府,広島県,徳島県,高知県,宮崎県の8都府県に在住する3200人に対してアンケートを実施したところ,臨時情報(巨大地震警戒)が発表された場合,警戒期間である「1週間以内」に大地震が起こる確率が80%以上だと認識している割合は,全体の4割以上であることが分かった.国のガイドラインによれば,過去の巨大地震統計からその確率は7%とされており,認識と実態の乖離が浮き彫りになった.また,地震発生確率が高いと認知している人々は,国が推奨する防災行動を取る割合が高いが,必ずしも推奨されていない行動(避難所へ行く等)を取る割合も相対的に高くなることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回アンケート調査を実施でき,臨時情報の認識に関しての基礎的なデータを収集することができた.学会や論文でこれまでの成果も発表できており,順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今回のアンケート調査をもとに,臨時情報が発表された時に人々が取る行動と,そうした行動が社会に与える影響を明らかにするための調査を実施する.その際,従来の防災分野にとらわれず,社会経済的に大きなインパクトがもたらされる分野を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響のため対面での調査等を延期したため.そのため,次年度は対面での調査等にあてる.
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