研究課題
本研究の目的は、老朽化する建築の災害リスクを、建物内に設置する異種デジタルセンサ群の絶対時刻同期を前提とするマルチモーダル分析により制御することで、建築を強化するための技術基盤を確立することである。具体的には、(1) 建物内に設置する異種デジタルセンサの絶対時刻同期システム、(2) 災害時の建築の時系列マルチモーダル分析、(3) 建築のリスク制御情報システムを研究・開発した。カメラ、デジタル型高精度加速度センサを利用可能な異種デジタルセンサ型絶対時刻同期モジュールを開発した。チップスケール原子時計の計時精度を用いて、計測データにタイムスタンプを付与するメカニズムを実装した。開発したモジュールには、時刻同期性能の検証用に外部アナログ入力端子も用意し、振動台による性能確認試験を行い、デジタル型加速度センサと外付けアナログ型加速度センサによる計測結果と比較することで時刻同期性能を確認した。カメラによる映像データの絶対時刻同期では、開発した異種デジタルセンサ型絶対時刻同期モジュールにデジタルインプットのインタフェースを増設し、カメラを接続した。カメラによる出力に、内蔵デジタル型加速度センサの出力と同期してタイムスタンプを付与する機能を追加し、LED制御装置により、時刻同期性能を確認した。開発した異種デジタルセンサ型絶対時刻同期モジュールを実環境に設置し、正確な時刻情報を保持した加速度及び映像データを取得した。また、モジュールを設置した環境において、地震時のデータを取得し、設置個所の加速度データにより振動を検知し、影響を評価するとともに、映像データにより、時系列に沿ってどのような事象が起こったのかを分析した。正確な時刻情報を保持する加速度と映像という異種デジタルセンシングを行い、取得したデータに対して時系列マルチモーダル分析を行い、被災状況等の災害リスク情報を表示するシステムを構築した。
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第44回情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集
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