本研究では、災害危険エリアにおける土地利用規制の効果だけでなく、規制に伴って中・長期的に発生する経済的影響を評価するためのデータベースならびに基本モデルを構築した。まず、過去の水害を対象とした事業者や家計の回復過程に関する調査を行い、短期的な地域経済への影響を評価するための統計モデルを構築した。さらに、国勢調査データから地域の世帯構成を推計し、世帯の属性を考慮したエージェントベースの人口予測モデルを構築した。本モデルを香川県に適用し2040年までのシミュレーションを行った結果、人口減少下においては、地価の上昇を招くことなく、より安全な地域へ人口集中エリアをシフトできる可能性が示された。
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