研究課題/領域番号 |
19K04972
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
内田 法彦 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (10610298)
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研究分担者 |
柴田 義孝 岩手県立大学, その他部局等, 特任教授 (80129791)
石田 智行 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (00719148)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 災害通信システム / 耐遅延性通信 / 無線通信 / モバイルネットワーク / IoT |
研究実績の概要 |
本研究では、被災者が時間等とともに変化する必要な情報に優先度(ユーザポリシー)を付与し、5G等のD2D(Device-to-Device)通信による通信途絶時の遅延性とデータ伝送率の飛躍的向上と、IoTデバイスによる生体及び地震データ等を用いて、被災者周辺の部分利用可能なインフラ情報やデマ信憑性確認等の災害情報を自動共有する次世代耐遅延性災害通信システムに関する研究開発を目的としている。 そして、本年度は、新型コロナウィルスによる移動自粛などに伴う現地調査や実証実験の計画変更があったため、耐遅延性通信シミュレーターにも実装変更が生じたものの、既存の4G/WiFi等の他、5G/IoT通信を導入したD2D通信機能を導入し、岩手県宮古市などのGISマップを利用可能とした耐遅延性通信シミュレーターの実装と修正を行った。また、IoTセンサー値等を耐遅延性通信方式により携帯電話等を介して、クラウド中に実装したエージェントサービスに送信し、そこでベイズ推定を利用したインフラ情報やデマ信憑性確認等を自律的に生成する被災者支援機能のプロトタイプの研究開発と実装を行った他、増大するIoTデータのユーザポリシーを考慮した拡張ダイクストラ法を用いたルーティング機能と負荷分散するためのスイッチング機能を用いた異種無線網間通信制御機能を提案し、プロトタイプを実装して評価を行ってきた。 今後は、昨年度中止が余儀なくされた国内外学会も、オンライン開催が実施されるようになってきており、これらを通じて、評価を進めてきた異種無線網間通信制御機能等の評価を行っていく他、現地調査や実証実験の代わりに耐遅延性通信シミュレーターのGIS機能の拡充を計画しており、被災者支援機能の検証と併せて、国内外学会発表にて研究成果報告を行っていく予定である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ユーザポリシーを考慮した拡張ダイクストラ法を導入した異種無線網間通信制御機能や、IoTセンサーによる被災者支援のための通信制御法・自動情報生成機能などの研究開発は、ほぼ当初計画通り進んでいるものの、新型コロナウィルスの影響により国内外学会の学会が中止となった影響があり、学会を通じた評価及びそれを受けての提案手法の修正といった作業が本年度は進展できなかった。また、移動自粛のため実証実験の計画変更もあり、そのための評価シミュレーターの機能追加といった作業も発生している。 そのため、次年度はオンライン学会の参加や学術誌への投稿といったことも、現在進めており、本年度勧められなかった評価を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
設計及び実装については、当初計画通り、2021年度も、これまで推進してきた提案機能の改良と、プロトタイプシステムの改良を行っていく予定である。 そして、フィールド実験を中心として検証計画については、新型コロナウィルスの影響による活動自粛も考慮して、シミュレーションの機能を拡充し、提案手法の有効性について検討を行っていく予定である。 また、計画していた国内外学会出張費に関する費用が、新型コロナウィルスによる影響で、未使用額が生じたが、研究計画に変更はなく、また、シミュレーション環境の拡充に必要な機器類の購入や、遠隔作業を想定した大学院生などの人件費を計画している他、移動自粛状態の様子によっては、基金を活用し、出張費を延期して利用することも想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスによる影響により、計画していた国内外学会への出張費、外出自粛による実証実験にかかる人件費、オンライン講義による学内業務の負担増があり、2020年度の研究費に未使用額が生じた。そのため、次年度使用額は、今後想定されるオンラインでの学会参加や実証実験を一部シミュレーションに仕様変更することに伴う物品費等の充足を計画しており、またリモート環境の整備を進めながら本研究開発を進めていく。また、海外を含む移動自粛の状況によっては、成果発表のための出張費は、基金を活用し翌年以降に、延期して使用することも想定している。
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