研究実績の概要 |
令和3年度においては,申請者らが提案している省資源型β‐タイプ学習オートマトンを用いた位置情報利用型ルーティングβ‐BGRと,本研究で新たに提案したLR‐I強化法を持つ学習オートマトンによるα‐BGRについて,さらに詳細な性能評価を実施した.性能評価は,研究で実現するシングルボードコンピュータ(RaspberryPi)に実装予定のLPWA通信方式,現実の飲料用自動販売機の設置密度などのパラメータを反映したのはもちろん,(1)平均パケット到達成功率,(2)平均通信時間,(3)平均パケット数などの指標においてほぼ実用に近い形で結果が得られた.結果として,令和2年度で目処をつけたα‐BGRがβ‐BGRとほぼ同等な性能を有すること,実用上はα-BGRで十分であることを確認した.計算資源に限りがあるシングルボートコンピュータで実装するにあたり,α-BGRを核とした位置情報利用ルーティングを採用する. 本研究では,本来災害対応型でない通常の飲料用自動販売機に安価なプラットホームを追加することで防災用自動販売機とすることを想定している.その実用化に向けて,令和3年度の成果によって具体的な仕様を定めることができた.一方で,シングルボードコンピュータでの実装に必要な機器・パーツを既に導入し,位置情報利用型ルーティングを実装するためのハードウェア製作も併行して実施した.新型コロナウイルスの影響で研究が遅延しているが,令和4年度の実用化に向けての研究の準備ができたものと考える. なお,令和3年度は得られた成果で学会発表1件を行った.ここまでの成果の研究速報を投稿論文として発表予定で準備を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度においては,省資源型β‐タイプ学習オートマトンを導入した位置情報利用型ルーティング手法β‐BGRの再検討を行い,LR‐I強化法を持つ学習オートマトン(ここではこの学習オートマトンを便宜上α‐タイプと呼ぶ)を用いたα-BGRでも十分な性能が得られることを確認した.α-タイプ学習オートマトンは学習速度が遅い,誤学習率が高いといったデメリットがあるが,計算資源のコスト面で有利である.シミュレーション実験では,防災型自動販売機に実装可能なLPWA(Low Power Wide Area)という通信方式を想定しており,研究のプラットホームとなる技術仕様を確定できた. 当初の計画では,令和3年度に実機での実装とその性能評価を行う予定であった.新型コロナウイルス感染症の影響により,学校教育での負担割合が増えてしまい,研究活動の遂行にも影響が出てしまった.令和4年度中に実機での実験と性能評価を実施したいと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の成果をもとに,LPWAモジュールを導入したシングルボードコンピュータにα-BGRを核とした位置情報利用型ルーティング手法を実装する.その上で,地元の飲料自動販売機ベンダと連携を行い,飲料用自動販売機を防災型自動販売機と見なした通信実験を行う.その実験結果から性能評価を行い,パラメータチューニングを実施することで実用に適した位置情報利用型ルーティングの実用化を試みる. 一方で,これまでの研究の成果をまとめ,新型コロナウイルス感染症の影響がない範囲で国際会議等で学会発表し,最終的な成果を学術論文の形でまとめる.
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