転位の配列により亜粒界が形成されると結晶粒内の方位は場所により変化するため,結晶方位の位置依存性は塑性変形によって形成される材料組織を考察する際の重要な因子となる.結晶方位変化を示す回転行列の対数は三つの独立な実数成分を持ち,それらの成分は対数角と呼ばれる.この対数角は基準軸回りの回転角の成分とみなせ,方位変化を解析するうえでの重要な特性角である.冷間圧延による銅双結晶中の方位変化,そして超微細結晶粒のアルミニウムの結晶粒における塑性変形による方位変化,これらについての実験結果の解析に対数角を応用してその有用性を示した.
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