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2020 年度 実施状況報告書

チタンと鉄の中の合金元素近傍の局所格子歪解析とマルテンサイト変態への格子歪の影響

研究課題

研究課題/領域番号 19K04991
研究機関公益財団法人名古屋産業科学研究所

研究代表者

森永 正彦  公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 研究員 (50126950)

研究分担者 吉野 正人  名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10397466)
湯川 宏  名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50293676)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード局所格子歪 / チタン / 鉄 / マルテンサイト変態 / 擬ポテンシャル / 原子化エネルギー / 合金設計 / 自己拡散係数
研究実績の概要

金属中に原子サイズの違う合金元素が入ると、合金元素近傍の母金属格子に局所歪が導入されることは昔からよく知られている。しかし、局所格子歪の大きさを系統的に決定した研究は、これまで殆ど見当たらない。そこで、本研究では、遷移金属のチタンおよび鉄の中の合金元素近傍の局所格子歪を調べる。チタン合金と鉄合金中の局所格子歪の大きさを、擬ポテンシャル法を用いて初めて決定する。また、その格子歪を発生させる源である化学結合を、原子化エネルギーを用いて解析し、局所格子歪についての基本的な考え方を創出する。そして、それらを基に、両合金に現れるマルテンサイト変態の開始温度(Ms)と局所格子歪との関係を調べ、合金設計の新しい指針を導出することを目指す。本年度は、以下の結果を得た。
昨年度のチタンに続き、本年度はbcc鉄およびfcc鉄中の各種の合金元素近傍の局所格子歪を、擬ポテンシャル法を用いて系統的に決定した。併せて、bcc鉄中の原子空孔の近傍の局所格子歪量を決定した。興味深いことには、bcc鉄やbccチタンのように空孔近傍の局所格子歪が大きい金属において、自己拡散係数がたいへん大きいことが初めて分かった。また、各種bcc金属の中でも、チタンや鉄のような同素変態が起きるbcc金属において、特に自己拡散係数が大きいことも判明した。この結果は、金属中の原子の拡散に、空孔近傍の局所格子歪が深く関与していることを示唆している。また、チタン合金や鉄合金で起こるマルテンサイト変態が、合金元素近傍の局所格子歪の大きさと関係があることを示唆している。このように、本研究で取り扱っている「金属中の合金元素及び空孔近傍の局所格子歪」は、金属の基礎物性を理解するうえで重要な因子であることを確認した。
さらに、昨年に引き続き、チタン中の局所格子歪の原子化エネルギーによる評価を行い、局所格子歪の成り立ちを調べている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

鉄中の「合金元素及び原子空孔近傍の局所格子歪」の基本的な情報を得ることができた。その局所歪の大きさは合金元素の種類によって大きく異なり、原子変位型のマルテンサイト変態に局所格子歪が関与することが示唆されている。この外、空孔近傍の局所格子歪と金属原子の自己拡散係数の間には密接な関係があることを初めて見出している。このように、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

今年度は、前年度の研究項目である「チタンおよび鉄中の局所格子歪の原子化エネルギーによる評価」をさらに進める。さらに、当初の研究計画に従い、「合金元素近傍の局所格子歪とマルテンサイト変態の関係の解析」と「チタンおよび鉄中の合金元素近傍の局所格子歪を用いた合金設計指針の導出」に関する研究を行う。そして、チタンと鉄に関する局所格子歪の基本データベースを創り、合金設計に供する。この外、原子空孔近傍の格子歪についても計算を進める。

次年度使用額が生じた理由

(理由)本研究の多くは、電子構造の計算機シミュレーションによって行われている。これまでは、既に研究室にある古い端末機を使って研究を進めてきた。今後、計算の一層の効率化を図るために、新しい端末機などの計算に必要な物品の購入を次年度に行うことにしたため。
(使用計画)上記の前年度未使用額(約698千円)と本年度分の助成金(800千円)の計1,498千円の使用内訳は、物品費(約888千円)、旅費(約260千円)、研究成果投稿料(約250千円)、その他(約100千円)である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Local Lattice Strain around Alloying Element and Martensitic Transforamtion in Titanium Alloys2020

    • 著者名/発表者名
      M. Morinaga, H. Yukawa, M. Yoshino
    • 雑誌名

      MATEC Web of Conferences

      巻: 321 ページ: 11009;1-6

    • DOI

      10.1051/matecconf/202032111009

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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