熱プラズマプロセスを用いてSm-Fe-Nナノ粒子合成を試みた。原料粉はSm金属粉とFe金属粉の混合粉を用いた。熱プラズマプロセスで得られたSm-Fe合金はXRD測定より、準安定相であるTbCu7型の相を有することが分かった。この準安定相は600℃までその構造を保ち、700℃では安定相のTb2Zn17型に変化した。得られたSm-Fe合金粉末を窒素気流中で窒化することで、Sm-Fe-Nを得た。SEM画像より、約100nm程度の平均粒径を有することが分かった。得られたSm-Fe-NをXRD測定によって得られた相を評価した。その結果、窒化によって結晶構造は変化することは無く、TbCu7型もしくはTb2Zn17型のSm-Fe-Nであることが分かった。 得られたSm-Fe-Nナノ粉末を樹脂内で磁場配向した結果、XRD測定からはc軸が容易軸であることが分かった。また、その配向度は90%以上であることが、極点図測定により明らかとなり、合成したSm-Fe-Nナノ粒子は一つ一つが単結晶粒子(異方性磁粉)であることが分かった。この結果は、TEMを用いた局所的な微細構造解析の結果と非常によく一致している。従って、磁性粒子としては非常にポテンシャルの高いナノ粒子を合成することに成功したが、軟磁性成分(副相)であるFeの生成を抑制することが難しく、現状では室温において2kOe程度の保磁力に留まっている。これは、SmとFeの蒸気圧と表面張力の違いから、粒子生成過程においてSmとFeの凝集過程に大きな隔たりがあることが数値計算結果から推測できる。今後はこれらの隔たりについて、積極的にプラズマ流を制御することで、単相化を目指す。
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