研究課題
基盤研究(C)
本研究では,異種金属種を含む原料有機物に2つの熱改質(水熱処理と炭素化)を行い,炭素体のナノ空間とバルクの両モルフォロジーを一体的かつ高度に制御した多孔性ハードカーボンの合成方法を提案した。水熱処理を適用することで,出発原料の構造特性を生かした多孔性の球状炭素体の誘導が可能となった。また,本法をバイオマス資源の改質用途だけでなく産業廃棄物の材料用途にも展開することで,カーボンニュートラルに資する新たなものづくりの可能性を提示できた。
工学
本成果は,水熱処理の利点を最大限生かしながらナノ空間とバルク形態の一体制御に取り組んだものであり,エネルギー貯蔵用の基盤材料の低コスト化および高品質化を図ることができる。安価なセルロース系原料の他,産業廃棄物を炭素源することで,その含有炭素をほぼ固定炭素(炭)として取り出し,同時に多孔性を付与することができるため,材料用途の分野が広がるだけでなく,カーボンニュートラルに貢献できる合成法と言える。