研究課題
ペロブスカイト型酸化物蛍光体ABO3において、発光中心として添加した希土類イオンは、その大きさのため一般的にAサイトを置換する。これは、希土類イオンを単独添加した場合だけでなく、異なる希土類イオンを共添加した場合にも同様である。したがって、以前の数多くの研究はAサイトを置換した希土類イオンLn(A)の蛍光特性を報告しており、単純なペロブスカイト構造でBサイトを置換した希土類イオンLn(B)からの発光特性について報告した研究はほとんど無い。しかし、特定の物質を母体にした場合、希土類イオンがBサイトを置換し、Aサイトを置換した場合と異なる発光特性を示すことが最近明らかになり、Eu3+やTb3+をサイト別添加した単純ペロブスカイト型酸化物LaLuO3においてそのサイト別発光を解明した。さらに、希土類イオンのサイト別添加が可能になったことで、共添加した希土類イオン間のエネルギー移動による発光も、Ln(A)とLn‘(A)間だけでなくLn(A)とLn‘(B)のエネルギー移動による発光が起こり得ると予想された。そこで、LaLuO3中でTb3+をサイト別添加できることを発展させ、Ce3+とTb3+を共添加し、Ce3+がAサイトを占有(Ce3+(A))し、且つTb3+がAまたはBサイトを占有(Tb3+(A),Tb3+(B))するサンプルの作製を試みた。実際にそのようなサンプルが作製されたことをリートベルト解析で明らかにした。また、それらのサンプルに対して蛍光スペクトル測定を行い、Ce3+(A)からTb3+(A)とCe3+(A)からTb3+(B)へのエネルギー移動によるTb3+(A)やTb3+(B)の発光を明瞭に観察することに成功した。この発見により、共添加蛍光体において、添加サイトを制御した新しいタイプの蛍光体を開発可能であることを実証した。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
The Journal of Physical Chemistry C
巻: 126 ページ: 6499~6504
10.1021/acs.jpcc.2c01074
physica status solidi (b)
巻: 258 ページ: 2100450~2100450
10.1002/pssb.202100450
Crystal Growth & Design
巻: 21 ページ: 2663~2667
10.1021/acs.cgd.0c01531