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2020 年度 実施状況報告書

量子ビームを用いた構造改質による新奇機能性SiC系ナノ材料・複合材料の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K05022
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

田口 富嗣  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター, 上席研究員(定常) (50354832)

研究分担者 山本 春也  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 上席研究員(定常) (70354941)
佐伯 盛久  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター, 上席研究員(定常) (30370399)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードカーボンナノチューブ / イオン照射 / 新奇カーボンナノ材料 / 二層壁厚SiCナノチューブ
研究実績の概要

昨年度に引き続き、C-SiC同軸複合ナノチューブのイオン照射により、新奇カーボンナノ材料の創製を試みた。C-SiC同軸複合ナノチューブ内のカーボン層は、長さ方向にほぼ平行なカーボン層と径方向に僅かに傾いたカーボン層の二層構造になっていることが分かっている。そこで、僅かに傾いたカーボン層のみから構成されているC-SiC同軸複合ナノチューブを、室温でイオン照射を行った。その結果、SiC層はアモルファス化するが、カーボン層は結晶を維持し、そのカーボン層は、長さ方向からわずかに傾いた構造から、長さ方向に完全に垂直な構造へと変化した。すなわち、アモルファスSiCナノチューブ内に、穴あきの直径50nm以下のグラフェンナノディスクが長さ方向に積層した新しいカーボンナノ材料の創製に成功した。また、穴あきのグラフェンナノディスクの面間隔は0.386nmであり、昨年度作製した長さ方向に積層したグラフェンナノディスクと多層カーボンナノチューブのハイブリッドカーボンナノ材料の面間隔である0.339nmと比べて大きいことが分かった。
また、多層カーボンナノチューブとSi粉末との真空中熱処理により、SiCナノチューブの合成に成功しているが、熱処理条件を最適化することで、太いSiCナノチューブ内に細いSiCナノチューブが入っている二層構造を持つ、多結晶二層厚壁SiCナノチューブの合成に、世界で初めて成功した。さらに、この多結晶二層厚壁SiCナノチューブを室温でイオン照射することで、アモルファス二層厚壁SiCナノチューブの合成にも初めて成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

C-SiC同軸複合ナノチューブのイオン照射により、これまでに合成されたことのない新奇構造カーボンナノ材料の合成に成功し、C-SiC同軸複合ナノチューブ内のカーボン層の構造が、新奇構造カーボンナノ材料の構造に強く影響をもたらすことを明らかにできた。
さらに、これまでに合成されたことのない多結晶及びアモルファス二層厚壁SiCナノチューブの合成にも成功したため、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

引き続き、C-SiC同軸複合ナノチューブのイオン照射により、元々のカーボン層の構造を制御することで、これまでに合成されたことのない新奇構造カーボンナノ材料の創製を目指す。また、エネルギーの異なるイオン照射により、得られる構造が異なるかどうかも併せて検討する。
さらに、C-SiC同軸複合ナノチューブやSiCナノチューブのレーザー照射により、新奇構造SiC系ナノ材料の合成も試みる。
このようにして得られた新奇構造ナノ材料の電気的、電気化学的特性評価を進める。

次年度使用額が生じた理由

透過型電子顕微鏡その場観察実験が、予定よりも順調に行われ、さらに良好な結果が得られたために、予定よりも試料作製用の原材料を購入する必要がなくなったため。また、雰囲気制御電線線照射用容器を使用しなくても、Pt微粒子をSiCナノチューブに担持可能だったため。さらに、新型コロナウィルス蔓延により、出席予定であった国内及び国際会議が中止になったため。
令和3年度には、雰囲気制御レーザー照射容器や、電気及び電気化学特性評価用消耗品等を購入する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Synthesis and formation mechanism of novel double-thick-walled silicon carbide nanotubes from multiwalled carbon nanotubes2021

    • 著者名/発表者名
      Taguchi Tomitsugu、Yamamoto Shunya、Ohba Hironori
    • 雑誌名

      Applied Surface Science

      巻: 551 ページ: 149421~149421

    • DOI

      10.1016/j.apsusc.2021.149421

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Analysis of J-HBC Stripper Foil for the J-PARC RCS2021

    • 著者名/発表者名
      Yoshimoto Masahiro、Nakanoya Takamitsu、Yamazaki Yoshio、Saha Pranab、Kinsho Michikazu、Yamamoto Shunya、Okazaki Hiroyuki、Taguchi Tomitsugu、Yamada Naoto、Yamagata Ryohei
    • 雑誌名

      J. Phys. Soc Conf. Proc.

      巻: 33 ページ: 011019~011019

    • DOI

      10.7566/JPSCP.33.011019

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comprehensive Understanding of Hillocks and Ion Tracks in Ceramics Irradiated with Swift Heavy Ions2020

    • 著者名/発表者名
      Ishikawa Norito、Taguchi Tomitsugu、Ogawa Hiroaki
    • 雑誌名

      Quantum Beam Science

      巻: 4 ページ: 43~43

    • DOI

      10.3390/qubs4040043

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of a laser-induced breakdown spectroscopy system using a ceramic micro-laser for fiber-optic remote analysis2020

    • 著者名/発表者名
      Tamura Koji、Ohba Hironori、Saeki Morihisa、Taguchi Tomitsugu、Lim Hwan Hong、Taira Takunori、Wakaida Ikuo
    • 雑誌名

      Journal of Nuclear Science and Technology

      巻: 57 ページ: 1189~1198

    • DOI

      10.1080/00223131.2020.1776648

    • 査読あり
  • [学会発表] 二層厚壁SiCナノチューブの合成2020

    • 著者名/発表者名
      田口富嗣、大場弘則
    • 学会等名
      日本顕微鏡学会 第76回学術講演会
  • [学会発表] Synthesis of Precious Metal Nanoparticles inside Ion-Track-Etched Capillaries Formed in Polyimide Films2020

    • 著者名/発表者名
      山本春也、越川博、田口富嗣、出崎亮、岡崎宏之、八巻徹也
    • 学会等名
      第30回日本MRS年次大会
  • [学会発表] The suppression of oxidative corrosion of carbon by structural change due to ion irradiation2020

    • 著者名/発表者名
      Okazaki Hiroyuki, Yamamoto Shunya, Koshikawa Hiroshi, Taguchi Tomitsugu, Idesaki Akira, Yamaki Tetsuya
    • 学会等名
      第30回日本MRS年次大会

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公開日: 2021-12-27  

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