研究課題/領域番号 |
19K05022
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
田口 富嗣 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター, 上席研究員 (50354832)
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研究分担者 |
山本 春也 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 上席研究員 (70354941)
佐伯 盛久 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター, 上席研究員 (30370399)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カーボンナノチューブ / イオン照射 / 新奇カーボンナノ材料 / 照射効果 / 微細組織観察 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、C-SiC同軸複合ナノチューブのイオン照射により、新奇カーボンナノ材料の創製を試みた。昨年度までは、200keVで加速されたSiイオンを照射していたが、今年度は、3MeVで加速されたNiイオンを用いて、C-SiC同軸複合ナノチューブを室温にて照射した。その結果、200keVで照射された場合と同様に、SiC層はアモルファス化したが、内部のカーボン層は結晶を維持し、そのカーボン層は、長さ方向から僅かに傾いた構造から、長さ方向に完全に垂直な構造へと変化した。さらに、SiC層表面では照射量が増加するとともに、カーボンリッチになり、照射量が低いとアモルファス構造であったが、照射量が増加するとともに結晶化していき、最終的には、SiC層の表面を多層のカーボンナノチューブが覆う構造に変化することを明らかにした。同様に、SiCナノチューブを3MeVのイオンで照射することで、SiC層の表面をカーボンナノチューブで被覆されたアモルファスSiC-C同軸複合ナノチューブの合成に初めて成功した。 また、SiCナノチューブの発光特性評価を行った。その結果、分散材を用いてSiCナノチューブの塊を解き、より小さいクラスターにすることにより、SiCナノチューブの発光強度は増加することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
加速エネルギーを変えてSiCナノチューブやC-SiC同軸複合ナノチューブのイオン照射を行い、低加速エネルギー照射と異なる結果を得るなど、着実に成果は挙がっているが、コロナ等の影響により、イオン照射のマシンタイムが減り、また、これらナノチューブのレーザー照射等が行われていないために、本研究課題はやや遅れていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年に引き続き、SiCナノチューブ及びC-SiC複合ナノチューブの加速エネルギーやイオン種を変化させて、核的阻止能及び電子的阻止能の値を変えることで、これらナノチューブの微細構造変化がどのように変化するかについて系統的に検討する予定である。 また、イオン照射と同様に、レーザー照射によりこれらナノチューブの微細組織変化についても併せて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス蔓延等の影響により、イオン照射のマシンタイムが減り、さらに、これらナノチューブのレーザー照射等が行われなかったため、本研究課題の進捗が予定の実験計画よりもやや遅れている。そのため、次年度に雰囲気制御レーザー照射実験等を行うための予算として使用を計画している。 また、新型コロナウィルス蔓延により中止になった国際会議にも、本年度参加を予定している。
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