研究課題/領域番号 |
19K05036
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
近藤 行成 東京理科大学, 工学部工業化学科, 教授 (70277276)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 金色 / アゾベンゼン / 銀色 / スチルベン / バーコーティング / 有機物 |
研究実績の概要 |
アゾベンゼンの構造を有する化合物を結晶化することにより、金色光沢の微結晶を調製した。この微結晶を、金色光沢が損なわれない程度まで破砕したのち、有機液体であるジメチルスルホキシドに分散させ、アプリケーターを用いて、スライドガラス表面でバーコーティングを行った。しかしながら、金色光沢結晶を分散させたジメチルスルホキシドは、その粘性が低かったため、大面積にコーティングすることは難しかった。 そこで、分散液の粘性を増加させるため、ジメチルスルホキシドに代えてポリビニルアルコールを用いた。ポリビニルアルコールに上記の破砕した金色光沢結晶を分散させたのち、ホウ酸水を加え、ポリビニルアルコールを架橋し、粘性の高い分散液を調製した。この分散液を用いて、バーコーティングを試みたところ、大面積のガラスに金色光沢結晶を塗布することに成功した。 さらに、金色光沢微結晶のサイズと金色光沢との関係を、塗布膜の正反射率を測定することにより検討した。その結果、正反射率は、微結晶のサイズの減少とともに減少した。現在、目視でその塗膜が金色と認識できる微結晶の最小サイズについて検討中である。 2020年度は、上述の金色光沢結晶に加え、銀色光沢結晶についても検討した。スチルベンの構造を有する化合物を大量に合成し、アゾベンゼン化合物の時と同様、結晶化し、ポリビニルアルコールとホウ酸水の混合系に分散させた。その後、バーコーティングを試みたところ、ガラス表面に銀色を加飾することができた。銀色光沢についても、金色光沢と同様、結晶サイズの減少とともに、その塗布膜の正反射率は減少した。このため、目視で銀色と認識できる最小結晶サイズを現在、検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金色光沢微結晶及び銀色光沢微結晶の分散媒として、ポリビニルアルコール/ホウ酸水ゲルを選択することができたことで、ガラスのような滑らかな表面に、金色や銀色を加飾することができるようになった。研究課題であるバーコーティング法による塗布で、加飾することができた点で、ほぼ順調に研究は進捗していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ガラスのような滑らかな表面の金色や銀色の加飾は達成できたものの、紙の加飾については未検討である。2021年度は、紙を金色及び銀色で加飾する実験を行う。また、スクリーン印刷(ステンシル印刷)の手法を用いて、紙やガラス上に、文字や幾何学的な模様の印刷を試み、従来のメタリック塗料とは異なり、金属フリーな金色光沢塗料、銀色光沢塗料の基礎を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、新型コロナウィルスの流行で、例年通りの研究時間を確保することができなかった。このため、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、試薬の購入のために使う予定である。
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