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2019 年度 実施状況報告書

マイクロアクチュエータを指向する赤外応答性ナノカーボン/ポリマー複合粒子の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K05062
研究機関公立千歳科学技術大学

研究代表者

高田 知哉  公立千歳科学技術大学, 理工学部, 准教授 (00342444)

研究分担者 阿部 薫明  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40374566)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード温度応答性ゲル / アクチュエータ / カーボンナノチューブ / 赤外線
研究実績の概要

本研究では、赤外線照射により体積変化するマイクロアクチュエータの作製法の確立を目的として、Upper Critical Solution Temperature (UCST)タイプの高分子に多層カーボンナノチューブ (MWCNT)を混合した複合材料を作製し、赤外線照射に伴う温度応答挙動を観察した。具体的には、UCST型高分子としてよく知られるポリ(アクリルアミド-co-メタクリル酸ブチル)/ポリアクリル酸/相互侵入ネットワーク(IPN)ポリマーを用い、MWCNT添加の有無による赤外線照射時の温度および膨潤率の変化を調べた。
所定量のアクリルアミドとメタクリル酸ブチルを水/アセトニトリルに溶解し、架橋剤、重合開始剤およびMWCNT分散液を加えたのち、円筒状容器中で加温し重合させた。このとき、MWCNT未添加の試料も作製した。重合後には乾燥した固体が得られた。この固体の重量を測定したのち、アクリル酸・架橋剤・重合開始剤の水溶液を固体重量に応じた量だけ吸収させ、引き続き加温し重合させた。得られたゲルを水に浸し、未反応モノマーを除去した。作製したゲルに、LED光源からの波長810nmの赤外線を水中にて5時間照射し、照射前後での重量変化を観察した。また、赤外線照射に伴うゲル表面の温度を測定した。その後、5℃にて一週間保存して再度重量測定し、同様の赤外線照射を行った。このサイクルを5回繰り返した。
赤外線応答性の観察より、いずれのゲルも赤外線照射に伴う温度上昇が見られたが、MWCNTを添加したものの方が温度変化が大きく、自発的発熱へのMWCNTの効果が確認できた。一方、温度上昇に伴う膨潤率の変化はMWCNTを添加したものの方が小さく、発熱による体積増加はMWCNT添加により抑制されることがわかった。この原因として、MWCNTによる機械的強度の変化が生じたことが考えられ、今後の課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

UCST型温度応答性ゲルへのMWCNT添加により、赤外線により温度変化を誘起できることと、体積変化特性をMWCNT添加により変化させられることを見出したことは新規な知見であるといえる。球形のゲルを作製しての観察や、コア・シェル型粒子の作製を視野に入れていたが、今後の成型技術の検討などにより達成可能と考えている。

今後の研究の推進方策

ここまでで、MWCNT添加ゲルと未添加ゲルの温度応答性の差異について検討する。具体的には、赤外線照射に伴う膨潤率変化がMWCNTを添加した場合で抑制される理由について詳細に調べる。特に、MWCNTとポリマー鎖との結合形成の有無およびMWCNTの有無によるゲルの力学的強度の違いを実験的に調べる。
次の段階として、赤外線照射による体積変化の直接観察を試みる。球状のゲル粒子を作製した上、赤外線照射時の直径の変化を変位センサおよび光学顕微鏡により観察し、温度応答性のMWCNT添加量依存性および繰り返し性を評価する。

次年度使用額が生じた理由

当初導入を予定していた赤外線強度センサーについて、より安価な製品で目的を達することができたため支出額が抑えられた。また、COVID-19の影響により実地での学会発表が中止され、旅費の支出を要さなくなった。なお、当該学会発表については、発表として成立している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Preparation of infrared-responsive poly(acrylamide-co-butyl methacrylate)/polyacrylic acid/carbon nanotube composite gels2020

    • 著者名/発表者名
      Tomoya Takada
    • 学会等名
      日本化学会第100春季年会

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公開日: 2021-01-27  

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