本研究ではTiNi形状記憶合金の応用拡大を狙い,傾斜機能化と高耐食化の2つの観点から高機能化に取り組んだ.傾斜機能化は粉末冶金法と加工熱処理を組み合わせた新規プロセスを提案し,高耐食化は表面平滑化と熱窒化処理の組合せで達成することを目指した.本研究の主な成果は以下の通りである.(1)超音波ショットピーニング処理はNi濃度を長手方向に傾斜させたTiNi形状記憶合金焼結体の変形抵抗に明瞭な傾斜機能特性を与える.(2)TiNi形状記憶合金の高耐食化のためには,適切な条件下での表面平滑化と熱窒化処理による不動態皮膜の生成が有効である.
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