研究課題/領域番号 |
19K05067
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研究機関 | 北九州工業高等専門学校 |
研究代表者 |
小畑 賢次 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 准教授 (70370046)
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研究分担者 |
松嶋 茂憲 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 教授 (80229476)
水野 康平 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 教授 (80342583)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 光触媒 / 光殺菌 / Bi系複合酸化物 / 酸化チタン / 可視光応答 / LED / パイロクロア型複合酸化物 / Bi2Zr2O7 |
研究実績の概要 |
本研究では、高い酸化活性を有するBi系酸化物と高い還元電位を有するFe系酸化物をヘテロ接合することでZスキーム型光触媒を構成し、LED照射下で高い光殺菌活性を示す光触媒を開発するものである。具体的には、①Bi系酸化物のバンド構造制御と微細構造制御、②Fe系酸化物のナノ粒子化と微細構造制御、③Bi/Feヘテロ接合型光触媒による光触媒活性および光殺菌試験の実施である。 令和3年度では、白色LED光源のメイン波長(465 nm)を吸収する化合物として、パイロクロア型Bi2Zr2O7系複合酸化物の合成及び吸収強度の向上に重点をおいて実施した。Bi2Zr2O7系酸化物は、黄色顔料として応用が期待されている化合物であり、この複合酸化物に異種元素(V元素)を添加することで、メイン波長の吸収強度の向上を目的とした。また、ホスト酸化物として酸化チタンにも注目した。TiO2にはアナターゼ,ブルッカイト,ルチルの3つの結晶形があり,前二者は熱力学的に準安定な相であり,ルチルが最も安定な相である。ブルッカイトは粉末合成が容易ではないが,アナターゼはZrを添加するとルチルへの相転移が抑制することが可能である。そこで、この酸化チタンに異種元素(V,Zr元素)を共添加し、メイン波長の吸収特性を調べた。Bi2Zr2O7系試料の合成では、V元素を添加するとZrV2O7が生成してメイン波長域の吸収強度が低下した。一方TiO2系試料では、Zrを添加した試料は800℃までアナターゼ相が存在していたが、Vを共添加すると700℃以上ではルチル相が主相になった。800℃処理した(Zr,V)共添加系TiO2の光学的バンドギャップは約2.62eVと見積もられ、色度座標測定から、Vを添加するとb*値(黄色方向)がわずかに高くなった。TiO2系試料のメイン波長域の吸収強度が向上したが、期待したほど吸収特性は改善されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
白色LED光源のメイン波長 465 nm で吸収を示すパイロクロア型Bi2Zr2O7系複合酸化物やTiO2系酸化物の合成を行った。メイン波長の吸収強度の増大には V 元素の添加が有効であるが、Zr成分が共存すると、ZrV2O7のような複合酸化物を生成するため、期待したほどの吸収特性が得られていない。さらに、コロナ感染拡大に伴い、感染防止対策等の対応に、業務時間の大半を費やし、研究時間の確保が困難となったため、研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) 令和3年度が最終年度であったが、上記の理由により、研究が大幅に遅れている。そのため、令和4年度も引き続き研究を行うこととした。令和4年度は、LEDのメイン波長吸収材(ホスト材料)として、ZrO2系酸化物を選択し、異種元素(主にV)を添加した試料を合成し、メイン波長の吸収特性の改善を図る。光触媒活性の評価もあわせて実施する。 (問題点及び対応策) 令和3年度から研究分担者(光殺菌能評価担当)が配置換えにより、部署異動となった。MB(メチレンブルー)色素や揮発性有機化合物(VOCs, イソプロパノール等)の光分解等の光触媒活性の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大に伴い、感染防止対策等の対応に、業務時間の大半を費やし、研究時間の確保が困難となったため、研究が遅れたため、最終年度(令和3年度)を1年延長したため。
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