研究課題/領域番号 |
19K05071
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
田村 卓也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究チーム長 (30446588)
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研究分担者 |
李 明軍 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (50392808)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ネオジム磁石 / 電磁振動 / 異方性 / 結晶配向 / 鋳造磁石 |
研究実績の概要 |
2019年度は「NdCu共晶+30wt%Nd2Fe14B」合金、及び「NdCu共晶+50wt%Nd2Fe14B」合金を対象として、先ずは電磁振動プロセスにおける磁場強度・交流電流強度・電流周波数がNd2Fe14B相の微細分散化及び配向化それぞれに及ぼす影響を調べた。 その結果、250 Hzと低周波の電磁振動を印加すると粗大な板状結晶であったNd2Fe14B相は、50μm程度の大きさまで破砕され、『Ndリッチ相である(Nd-30at%Cu)共晶相内に微細状態で孤立する』ようになることが判明した。このNd2Fe14B相の微細化は、様々な条件にて作製した試料を観察した結果、容器とNd2Fe14B板状結晶がぶつかることによる機械的な破砕であると考察された。 また、高周波である電磁振動(1000 Hz)を印加すると、無秩序に分散していた微細化Nd2Fe14B板状結晶がc軸方向に配向化し、異方性ネオジム磁石の要件をすべて満たすようになることが判明した。この配向化は、強磁場下に起因する軸方向の磁化率が異なることによる配向化のみで達成されたのではなく、半溶融状態においてNd2Fe14B板状結晶の周りに共晶液相の流れが出来たことによる配向化も原因であると考えられた。 これらの実験結果より、微細分散化及び配向化の原理を考察し、基本式を構築した。さらに、この低周波及び高周波の2段階の電磁振動プロセスを行った試料においては30wt%Nd2Fe14B試料、50wt%Nd2Fe14B試料共にVSM(室温)における磁気測定により角形性を有する完全な異方性鋳造ネオジム磁石であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、電磁振動プロセスにおける磁場強度・交流電流強度・電流周波数がNd2Fe14B相の微細分散化及び配向化それぞれに及ぼす影響を大きな観点から調査したことにより、この研究において重要な基本原理を構築できる現象を見出すことが出来た。以上の結果より、本年度の研究目標はおおむね達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度以降は、2019年度大きな観点から調査を行った「電磁振動プロセスにおける磁場強度・交流電流強度・電流周波数がNd2Fe14B相の微細分散化及び配向化それぞれに及ぼす影響」をより詳しく調査し、構築した基本式が実験的に合致するか否かをまずは調査する予定である。また、Nd2Fe14B相の含有量を上昇させる事でどの程度の固相率まで微細化・配向化出来るのか、またNdCu相の組成を変化させることにより微細化・配向化更には磁化特性に変化が生じるのかを調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な次年度使用額が生じた理由としては、実験補助員の確保が出来なかったことにある。この使用計画としては、実験補助員の確保が出来たことから、翌年度分の人件費と合わせて実験補助員を雇用し、実験を加速させる予定である。
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