研究課題/領域番号 |
19K05074
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
仁野 章弘 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (80451649)
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研究分担者 |
関根 崇 秋田県産業技術センター, 先端機能素子開発部, 研究員 (70733559)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 炭化タングステン / 炭化ケイ素 / 窒化アルミニウム / 通電加圧焼結法 / 硬さ / 破壊靭性値 |
研究実績の概要 |
AlN-SiC-WCセラミックスは,通電加圧焼結法により,焼結温度1650℃で合成した.焼結中の収縮曲線の解析では,焼結温度付近で収縮のピークとなっていた.WC無添加では,相対密度は低く,緻密化しなかったが,WCを加えることにより,AlN-SiCセラミックスは,1650℃で相対密度98%以上となり緻密化した。WCはSiCおよびAlNの焼結助剤としての可能性が示唆される.SiC相とAlN相に対応するX線回折ピークは,シフトしており,それぞれ,固溶体を形成したと考えられる.構成相は,原料粉末に用いた相以外に,反応生成物相が確認された.ヤング率は,SiCとAlNに比べWCの方が2倍以上高い値となっており,WC量の増加とともに増加した.硬さは,WC量の増加とともに直線的な増加が見られた.これは,WC自体の高い硬さの影響が大きいと考えられる.破壊靭性値はSiC,AlNともに低く,WCを加えていない場合も同様に低かったが,WCを加えることにより増加した.硬さ,破壊靭性値ともにWC量の影響を強く受けた. 酸化物助剤である酸化イットリウムを加えることなく,WC-SiC-AlNセラミックスを1650℃で焼結した場合は,WCに対してSiC-AlNを複合添加することで,相対密度98%以上となり,緻密化した.硬さは,WC単体に対してはやや低下するが,幅広い組成範囲で高い硬さを維持した.本研究の組成域では,緻密な焼結体の硬さは,WCの平均粒径に従い変化した.破壊靭性値は,SiC-AlN量が変化しても大きな低下はなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成31年度は,WCを含むハイエントロピーセラミックスを低温で緻密化させるため,その焼結助剤について着目した.最も基本的な成分で,まずは、WCに対するSiC-AlNの焼結助剤としての効果を明らかにした。今年度の研究計画に記載した事項は終了している。
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今後の研究の推進方策 |
当初研究計画の変更はなく、計画通りに進める。今年度は,W-Ti-Ta-C固溶体粉末を用い、WCに次ぐ高いヤング率のTaCに着目し、TaC含有量を広く変化させ、通電加圧焼結法により合成する.まず,TaC量が変化しても,緻密化する組成域を明らかにする.焼結中の収縮挙動ならびにX線回折法による構成相の分析により焼結反応と構成相の変化を調べる.走査型電子顕微鏡観察,EPMAによる局所領域の組成分析も併せ、相安定性変化を明らかにする.ヤング率、硬さ、破壊靭性値などの機械的性質を調べ、組織と対応させるとともに,組織制御指針を見出す.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大のため,予定していた学会への出張がなくなった.この理由から,旅費に未使用額が発生した.今年度参加を予定している学会への旅費と消耗品の試薬として使用を予定している.
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