研究課題/領域番号 |
19K05076
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
山根 敏 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10191363)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | CMOS カメラ / プラズマ溶接 / 画像認識 / 深層学習 / 干渉フィルタ |
研究実績の概要 |
溶接状態を推定するためには、明瞭に溶融池を観察する必要がある。この溶融池観察を行うのに、CMOSおよびCCDなどのセンサを持つ視覚センサが有用である。しかし、これらのセンサは波長特性があり、溶融池を用いて明瞭に観察するためには、この特性とアークの分光特性を考慮しなければならない。そこで、最適な溶融池撮影方法を検討するために、分光器によりプラズマ溶接、パルスMAG溶接およびCO2溶接におけるアークおよび溶接溶融池の分光特性を計測した。ここでは鉄の母材を対象としており、鉄の融点は1535度であり、溶融池温度はその近傍のため、実測した溶融池の分光特性も600nmより徐々に大きくなった。 一般に近赤外用視覚センサのセンサ特性は1000nmでセンサ強度はなくなる。しかし、アーク光の分光ピークがある波長を含む干渉フィルタを用いて溶融池撮影を行った場合、アーク光の分光強度が強いため、干渉フィルタを用いても溶融池画像における溶融池と母材とのコントラストが弱くなる。そこで、アークの分光ピークを避けた適切なフィルターを選択すると溶融池を明瞭に観察できる。分光特性の計測結果、近赤外撮影用視覚センサの場合、940nm以上の波長を通過させるフィルタが適切であった。 プラズマ溶接に、このフィルタを適用して、明瞭な溶融池を撮影した。その画像を深層学習に適用し、ギャップ検出に適用した。学習を行って、試験データで確認したところ、良好な結果が得られたが、溶接線倣いが正常に行えていない場合、良好な結果を得ることができなかった。これを改善するために、検出エリアの調整が重要である。そこで、深層学習でギャップの有無を検出し、その結果に従って、検出エリアを修正した。この検出エリアにおける画像を新たな深層学習の入力とした。これにより、試験データおよびリアルタイム制御において良好な推定結果を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
溶融池観察において、視覚センサが重要な役割をするので、その最適な設定を行うことができた。また、深層学習の溶接への適用として、プラズマ溶接への適用が行えた。
|
今後の研究の推進方策 |
GMA溶接において、CMOSカメラを用いて、溶融池撮影を行う。この画像に深層学習を適用する。具体的には、アンダーカットおよび溶融池の溶込み深さ推定を行うため、溶融池だけでなく、電流・電圧も計測を行う。畳み込みニューラルネットワークに、溶融池画像とともに電流・電圧を入力し、溶融池の溶込み深さの動的推定が行えるようにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
分光器を購入から借用に変更したためである。次年度、計算機不可の高い深層学習を行うために、2GPUに対応した計算機を導入するための費用に充てる。
|