溶接品質の確保のために、安定な裏ビードを形成する必要がある。これを行うために、セラミック製裏当て材を用いたマグ溶接を対象とし、裏ビード形成状態の識別を行った。ここでは、基礎実験を行って、裏ビードおよび裏あて材との溶融状態を調査した。とくに、ギャップ変動のある状態で溶接溶融池の状態の分類を試みた。このとき、多数の画像と裏ビードの関係を構築する必要がある。しかし、数千枚の画像から溶融状態を連続値としてあらわすには多大な時間がかかる。そこで、溶融不足、適切および溶融過多の3種類に分類を限定した。このようにすることにより、教師データの構築を簡略化でき、短時間での教師データ構築が可能となった。 深層学習での推定結果を溶接条件へ適用するためには、識別分類に関する連続値が必要となる。そこで、深層学習の出力(識別分類)について検討を行った。この出力は、Softmaxを用いており、識別に関する値を0から1までの類似度で示している。そこで、識別出力の度合いに着目して、全ての出力を用いて、重心計算を行った。この重心値を識別の連続値として取り扱った。この値を用いることにより、制御への適用が可能になった。 溶融形状の識別への深層学習への適用を行うために、V開先溶接におけるプラズマ溶接溶融池形状にセフォマ・セグメンテーションを適用した。この溶接では、マグ溶接溶融池と異なり、溶融部と未溶融部との境界の識別が困難である。そこで、境界部付近を表す図形データを教師データとして用い、深層学習を適用した。その出力は図形となるので、これを画像処理し、溶融池中心を検出した。V開先の形状特性より、溶融部中心が溶接線に対応する。溶接前に、画面中心をトーチノズル位置に一致させておき、溶融池中心を画面中心になるようにデジタルコントローラを用いて制御した。これにより溶接トーチが溶接線に沿うよう追跡制御を行えた。
|