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2020 年度 実施状況報告書

レーザー加熱と炭化ホウ素融剤を用いた炭素系材料のロウ付け技術の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K05083
研究機関芝浦工業大学

研究代表者

正木 匡彦  芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00360719)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード接合 / グラファイト / 溶接
研究実績の概要

本研究は、グラファイト系の材料の溶接接合の可能性を探るものである。炭素とホウ素の二元状態図には金属間化合物(B4C)及びB4Cと純炭素の共晶点(共晶温度約2350℃)が示されており、ホウ素や炭化ホウ素をロウ材としたロウ付けの可能性が示唆されている。
我々はこれまでに炭素と炭化ホウ素を混合した微小合金球を不活性ガス中のガスジェット浮遊法にて浮遊させ、それを高出力レーザーにより溶融凝固させた結果、完全溶融状態の実現と共晶ラメラ組織の形成を確認した。本年度は不活性ガス中に小型のアーク溶接機を設置し、炭化ホウ素をロウ材とした炭素棒(焼結グラファイト材)の接合を試みた。断面が5㎜×5㎜,長さ50㎜の柱状のグラファイト棒の端面を突き合わせるように配置し、そこに炭化ホウ素の小片を接触させてアーク放電により加熱を行った。アーク電流を増加させていったところ、非常に高温になったグラファイトと炭化ホウ素の間に良好な”濡れ”が生じ、一般的な金属と同様の接合(半田付け)ができることを見出した。
接合させた試験片に対して引張試験を実施し、その接合強度の数値化を試みた。焼結グラファイトが脆性材料であるため応力ひずみ曲線の取得はできなかったが、相対的な接合強度の比較は可能であることを確認した。
炭化ホウ素の融点を下げるために純Siを添加したところ、融点の低下に加えて濡れ性の減少が見いだされた。これらのグラファイト材料の詳細な接合条件については、2021年度の研究において探索する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言への対応により若干の遅延が生じているが、本年度は実験装置の改修やそれに伴う新たな知見(アーク放電の利用による接合の確認)が得られており、おおむね順調に進捗しているといえる。また、引っ張り試験による接合強度の数値化についてもデータの取得が進んでおり、論文としての公表まであと一歩という段階にある。この成果については研究と並行して論文として執筆を進めており、2021年度内には投稿する予定である。緊急事態宣言などにより実験の継続が困難になった場合には、論文の投稿に注力する。

今後の研究の推進方策

2021年度は、以下の3点について研究を進める。
・接合条件の解明:2020年度の研究において、アーク放電による加熱を用いた接合が確認されたが、接合体の温度と接合強度の関係など定量化されていない条件が残されている。本年度はこれらの定量化を進め、詳細な接合条件を明らかにする。
・C-Cコンポジットに対する接合性の確認:これまで、接合の可否を試行錯誤的に探るため比較的安価な焼結グラファイトを母材として使用してきた。材料の強度としてはC-Cコンポジットやグラッシーカーボンの方が高いことから、2021はこれらの母材の接合を試みる。
・添加元素の効果:これまでに母材とロウ材の融点を下げることを目的としてSiなどの元素を添加したところ、濡れ性の著しい変化など副次的な効果が確認された。2021年度にはこれらの効果についても継続して明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の増加による緊急事態宣言などにより大学キャンパスの閉鎖が行われたため、消耗品や試料の購入を次年度に繰り越した。

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公開日: 2021-12-27  

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