研究課題/領域番号 |
19K05100
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
神田 康行 琉球大学, 工学部, 准教授 (10468069)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 廃コンクリート / 放電プラズマ焼結法 / 再生骨材 / リサイクル / セラミックス |
研究実績の概要 |
現在,わが国では高度経済成長期に建設されたコンクリート構造物の更新時期を迎えている.廃コンクリートは,コンクリート構造物の解体作業により発生する産業廃棄物である.現在の廃コンクリートは,主に路盤材としてリサイクルされている.しかし,この方法は,材料特性を十分に活かしたリサイクル法ではないことから,付加価値の高い方法の開発が望まれている. 本研究課題では,廃コンクリートの新しいリサイクル法として,廃コンクリートを微粉砕した粉末をセラミックス原料として活用する成形加工法を検討する.その際,高強度セラミックスの成形加工を目的として,放電プラズマ焼結(SPS)法を適用した.SPS法は,加圧と同時に原料粉末を焼結する方法であり,従来の電気炉焼成よりも短時間で緻密なセラミックスの成形加工が可能であり,高強度化も期待できる. 2019年度は,再生骨材の中でも粒度の細かい再生細骨材粉末を主に検討した.再生細骨材粉末は,粗粉砕した再生骨材のふるいに留まった試料をポットミルによる湿式粉砕により作製した.再生細骨材粉末をSPSに適用した結果,SPSによる固化成形は十分に可能であったが,3点曲げ試験結果の曲げ強度はやや低かった.そこで,曲げ強度の改善として,再生細骨材粉末に熱処理,酸処理および遊星ボールミルによる微粉砕化を検討した.その結果,曲げ強度の改善見込みが期待できた.現在も本実験は継続中であり,今後は,学術講演会などで研究成果を報告したい.また,本研究の予備的な先行研究の結果が良好であった.そのため,この研究成果は,本研究の一環として国際会議(PACLIM13)と国内会議(2019年度粉体粉末冶金協会秋季大会)にて講演発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
再生細骨材粉末をSPSに適用してセラミックスへの成形加工が可能であることが確認され,3点曲げ試験により曲げ強度を測定できた.さらに,再生細骨材粉末に対する前処理方法についても検討した.これらのことから,研究進捗はおおむね順調であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定どおり,再生粗骨材粉末を用いたSPSについて検討する.すなわち,再生粗骨材粉末の作製条件の検討,SPS法の成形条件(焼成温度,加圧力,温度保持時間など)をいくつか変化させて,焼結体の機械的性質が高まる成形条件を調査する.
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次年度使用額が生じた理由 |
SPS法の実験トラブルが少なくスムーズに研究を実施できたため,SPS装置の消耗品を購入しなかったことが主な理由である.次年度は,現存の焼結データを記録するペンレコーダーを早々に更新し,その他にも,実験トラブルの原因として予測できる経年劣化した消耗品を購入予定である.
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