今年度は,2019年度に作製した再生細骨材粉末(RFAP)と火力発電所より発生したフライアッシュ(FA)の複合材料を放電プラズマ焼結により作製した.これまでに,SPSにより作製したFAのセラックスの曲げ強度およびビッカース硬さは,RFAPを用いたSPS成形体よりも高いことが報告されている.また,SPSの焼結温度は,FAの方がRFAPよりも高い.このような経緯から,2021年度は,RFAPを用いたセラミックスの機械的性質の向上の検討として,FAを強化粒子として適用することを調査した. RFAPとFAは,両者をアルミナ製のポットに詰め込んだ後に遊星ボールミル装置(Fritsch,P-6)を用いて混合した.FAは,重量比で7.5 %をRFAPへ混合した.混合粉末は,SPSに適用することで,セラミックスを作製した.そして,作製したセラミックスの材料調査として,三点曲げ試験およびビッカース硬さ(HV)試験による機械的性質の測定,粉末X線回折(XRD)による結晶相の同定,走査型電子顕微鏡(SEM)による焼結体の表面観察を行った. 実験結果として,焼結体のHVと曲げ強度は,FA含有量の増加に伴い高くなった.XRDからは,RFAPに起因するウォラストナイト,ゲーレナイト,スプライトの合成が認められた.SEMによる焼結体表面の観察結果として,各含有量の表面状態に大きな差異は認められなかった. 学会発表の状況として,昨年度の研究成果を粉体粉末冶金協会2021年度春季大会にて講演発表した.その他にも,本研究に関連した研究として,本研究により得られた知見を利用した廃コンクリート粉末を用いてゼオライト合成した研究の論文が2編掲載された.
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