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2020 年度 実施状況報告書

イオン吸着と結晶成長モード制御による高強度・高延性電析Al合金の創製

研究課題

研究課題/領域番号 19K05101
研究機関大阪府立大学

研究代表者

瀧川 順庸  大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70382231)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード電解析出法 / アルミニウム / 結晶成長 / 延性 / イオン吸着
研究実績の概要

「(2)脆化元素除去と表面平滑化の効果の実証」として、昨年度までに脆化元素除去効果が見いだされたSn濃度の最適化を行った。その結果、ジメチルスルフォン10molに対して、0.0002molのSnCl2を添加することにより試料中のS、Cl濃度が十分に低下し、延性が発現することが明らかになった。今後は、Sn自体がAlに対する脆化元素であることから、この最低限のSnCl2を添加した浴を基本浴とし、合金化を進めることとした。
「(3)合金化と電析条件最適化による基板平行方向への結晶成長モード制御」として、上述した基本浴に合金化のための金属塩を添加して電析を行った。合金元素としてCu、Fe、Mn、Zrを添加した結果、いずれも引張試験可能な厚さ1mm程度のバルク合金の作製が可能であった。また、いずれの元素を添加した合金化後の試料においても脆化元素であるS、Cl濃度が十分に低下しており、SnCl2添加は合金化においても有効であることが明らかなった。一方、表面粗さや結晶配向性は添加元素により大きく異なる結果となった。Zr添加においては平滑な表面が得られたが、他の元素添加においては表面荒れが観察された。
引張試験の結果、いずれの合金元素によっても強度は大きく上昇した。しかしながら、450MPa程度の高強度を示す合金においては、伸びがほとんど得られなかった。今後は、合金元素濃度の最適化とともに、添加元素による結晶成長モードの制御を行い、強度・延性バランスに優れた合金の作製を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年度に実施予定であった「(2)脆化元素除去と表面平滑化の効果の実証」、「(3)合金化と電析条件最適化による基板平行方向への結晶成長モード制御」について予定通り実施している。引張試験を実施可能な高強度合金も得られていることから、最終年度に向けてよい成果が得られる可能性が見えつつあり、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

最終年度は「(3)合金化と電析条件最適化による基板平行方向への結晶成長モード制御」について実施し、強度・延性バランスに優れた合金の作製を目指すとともに、高強度・高延性達成のための元素選択指針について明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響により、参加予定の複数の学会がオンライン開催になったため、予定していた旅費が使用できなかったことが主な理由である。次年度の学会参加旅費に充てる計画である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Reducing sulfur to improve thermal embrittlement in electrodeposited nickel using citric acid2020

    • 著者名/発表者名
      Atsuya Watanabe , Yorinobu Takigawa
    • 雑誌名

      Results in Surfaces and Interfaces

      巻: 1 ページ: 100001

    • DOI

      10.1016/j.rsurfi.2020.100001

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ジメチルスルホン浴を用いた延性を有する電析アルミニウム合金の作製2020

    • 著者名/発表者名
      佐藤奏,松井功,瀧川順庸
    • 学会等名
      表面技術協会 第142回講演大会
  • [学会発表] 電解析出法による延性を有するアルミニウム合金の作製2020

    • 著者名/発表者名
      瀧川順庸,佐藤奏,久間千早希,東健司
    • 学会等名
      日本金属学会 2020年秋期(第167回)講演大会
  • [学会発表] くえん酸を用いた硫黄低減と配向制御による電着ニッケル2020

    • 著者名/発表者名
      渡邉充哉,瀧川順庸
    • 学会等名
      日本金属学会 2020年秋期(第167回)講演大会
  • [学会発表] 強度・延性バランスに優れた電解Al合金箔の開発2020

    • 著者名/発表者名
      大堂文彰,瀧川順庸
    • 学会等名
      日本材料学会第6回材料WEEK若手学生研究発表会
  • [学会発表] 電解析出法による高強度・高延性金属材料の創製2020

    • 著者名/発表者名
      瀧川順庸
    • 学会等名
      第22回 関西表面技術フォーラム
  • [備考] 信頼性材料研究グループ

    • URL

      http://www2.mtr.osakafu-u.ac.jp/

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公開日: 2021-12-27  

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