研究課題/領域番号 |
19K05113
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
寺門 修 函館工業高等専門学校, 物質環境工学科, 准教授 (90402487)
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研究分担者 |
葛原 俊介 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (60604494)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 金属回収 / 液相吸着 / 海藻 / 昆布 / 貝殻 / 炭素化 |
研究実績の概要 |
本研究では、北海道において豊富に獲れる海産物のうち、現在廃棄されている昆布などの海藻類の仮根や、貝殻などの未利用海洋資源の利活用を目的とし、これらの酸塩基特性を生かした組み合わせバイオソープション(生物吸着)法による金属イオン吸着剤の開発を行う。前者にはアルギン酸やフコイダンなどの粘質多糖類が豊富に含まれ、その酸性官能基によるイオン交換によって金属イオンが回収されるが、これに塩基性である炭酸カルシウムを主成分とする貝殻を添加し、炭酸塩の生成による金属吸着および溶液のpH変化に伴うイオン交換平衡のpH依存性を利用した新規金属イオン分離プロセス開発を本研究の目的としている。 本年度はムラサキウニ殻による水溶液中の金属イオン除去について金属イオンを広範に調査し、吸着性能に差が見られるか、またマコンブ仮根部を炭化することで有用な吸着剤が製造できるかの検討などを行った。 ウニ殻に関しては、前年度、750 ℃において焼成すると、銅(II)イオン除去が速やかに進行することがわかったが、体温について比較検討したところ、硫酸銅の除去が他のイオンないし硫酸銅イオン以外の銅イオンと比べて102~103倍程度除去されることが明らかとなった。すなわち、塩基性硫酸銅が沈殿物として生成し、結果として銅イオンが除去される影響が極めて強いことが明らかとなった。 また、マコンブ仮根の炭化を検討したところ、塩化亜鉛賦活法により、1600m2/g程度の高比表面積活性炭を製造できることが明らかとなった。これより、マコンブ仮根から新たな吸着剤の製造が可能であることを基礎的に示すことができた。 これらの結果を、高専シンポジウムならびに論文誌において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要欄において記載したように、ウニ殻の吸着処理に関する研究成果の学会発表をすることができた。また、マコンブ仮根の炭化実験については論文発表を行った。コロナ禍の状況下ではあるが、本研究はおおむね順調に推移していると自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況欄において自己評価したように、本研究はおおむね順調に推移しており、現時点では、当初予期していないことなどは発生していない。研究分担者とは密に連絡を取っており、研究推進上の課題などを早期に解決することができている。したがって、次年度以降の研究計画の変更はせず、引き続き当初計画に従って、研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の状況下で学会発表および研究打ち合わせのための旅費の執行が行えず、次年度使用額が生じた。今年度は旅費の執行を行いつつも、オンライン学会へ積極的に参加することを計画している。また、研究執行の迅速化を図るために、学生への謝金の増額に充てる。これに伴い、吸着実験の消耗品であるフィルタや、溶液調製のための純水装置消耗品を購入する。これら3点について、次年度使用総額のそれぞれ2割、5割、3割程度執行する計画である。
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