研究課題
化学プロセスでは様々な混相流現象があり,数値シミュレーション技術の発展により,固液,固気,気液などの二相系に留まらず,近年ではより複雑な固気液,気液液などの三相系のシミュレーションも可能になってきた。一方,さらに複雑な四相流の現象が実験により確認されている。例えば,粒子分散液に非混和流体を添加すると,乾燥薄膜のクラックを抑制する現象が報告されている。これは気相と粒子ならびに連続相と架橋する液体の四相で構成される現象である。これらの現象の解明や装置の最適化にはシミュレーションの手法が有効だと考えられる。本研究では固気液液四相流れの数値シミュレーションモデルの開発を行った。本研究では固気液液四相のための粒子-流体-界面運動の連成モデルを構築した。流体運動は連続の式と運動方程式により計算を行った。また,自由界面運動の記述にはPhase-field modelを用いた。運動方程式の界面張力項,Cahn-Hilliard方程式のダブルウェルポテンシャルならびに粒子表面における接触角の記述において,三流体(気相,水相,油相)間の三種類の相界面に働く界面を識別できるよう,従来のモデルから拡張を行った。従来の固気液三相流の研究で報告例の多い自由界面への自由落下粒子の衝突過程のシミュレーションを行った。容器内に下から順に水相,油相,気相を充填し,上方から直径2.0 mmの固体粒子を落下させた。固気液三相流の場合(油相なし)の場合と比較することにより,固気液液四相流の粒子運動と自由界面運動の特徴を調べた。ここでは,流体の充填率,粒子の接触角等の影響について系統的に調べた。その結果,四相流の場合は,三相流の場合よりも自由界面の数が増えることから,自由界面の運動が互いに影響し,複雑化すること,さらにそれに伴い,粒子に作用する毛管力により粒子運動も複雑化することが示された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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