研究課題
最終年度は、計画通り後処理によるゼオライト膜の二酸化炭素/炭化水素透過率比の向上を検討した。ゼオライト膜としてMFIゼオライト膜を用いた。MFI膜の合成には、2次成長法を用いた。製膜の合成ゲル組成はテトラメトキシシラン: トリプロピルアンモニウムブロミド: H2O: NaOH: NaAlO2= 1: 0.2: 200: 0.07: 0.01の比率で調製し180℃, 16hで行った。種結晶であるMFI粉末のコーティング量を制御することで、得られたMFI膜の性能は安定していた。処理前の単成分ガス透過による細孔径評価では、0.56nmと、MFIゼオライトの細孔である0.55nmと同レベルであった。単成分ガス透過試験による細孔径評価の精度は高いと言える。まずは、処理剤としてクロロプロピルトリメトキシシラン(ClPrTMOS)を用い、処理濃度の影響を検討した。2M/Lと高濃度での処理では、H2以外の透過分子は透過率が大きく低下し、H2/N2透過率比が94.2と向上した。一方、0.08M/L処理ではN2/C2H6透過率比が2.75から15.5に向上した。次に、処理濃度を0. 2M/Lと固定して、処理剤の影響を検討した。アミノプロピルトリメトキシシラン(APrTMOS)処理により、C2H6/C3H8透過率比が20.2から42.6に向上した。また、3, 3, 3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン((TFPrTMOS)処理では、CO2/CH4透過率比1.34から16.0へ大きく向上した。これより、MFIゼオライト膜において、TFPrTMOS処理により、計画通り二酸化炭素炭素選択透過膜を得ることができた。これらの膜の細孔径を、単成分ガス透過試験で評価した。ClPrTMOS 処理後は0.537nm、APrTMOS処理後は0.496nm、TFPrTMOS処理後は0.498nmであった。TFPrTMOSのテトラフルオロ基のサイズが、ClPrTMOSのクロロプロピル基より大きいため、処理後の細孔径が小さくなったと言える。結果として、二酸化炭素選択透過性が改善した。
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